大倉山


 大倉山に山田石材計画の事務所を訪ねる。

 今後の制作のために伊達冠石の玉石や、背板といって中心部分を使うために切られた表皮部分を大切にとってあるというので見せていただく。お忙しい中、山田社長直々に案内していただく。

 写真、上左あたりがイサムノグチの石を採ったエリアだという。その下の山砂に埋もれた伊達冠石の岩盤。うっとり。山田社長はこのままを、そっくりそっと掘り出したいと考えているという。技術的には大変だろうけどこのまま都会のレストランなどの壁面に再現したら素晴らしい壁面になるだろう。一部を磨いたり抜いたりして。


 晴れ渡った空に蔵王が浮かぶ。


 空と石と水と緑と。極楽。


 社長のお気に入りの石をまとめてあるエリアも案内していただいた。この石など「すきま」を制作のテーマのひとつにしている僕にとっては、もう完成された作品のようにすら見える。ひとつとして同じものはないその石肌を撫でて幸せな気持ちになっている山の上の男ふたり・笑 それにしても神様からの贈り物のような石だ。結局、一部を磨くだけで作品とする作家が多いのもわかる。もう最初からこの石は存在がすでに完成している。下手に手を加えれば加えるほど駄目になる。


 「お迎え石」と社長さんが呼んでいる石。採石場の入り口に建ててある。立てただけでこの美しさ。


 ほら、顔が見えますか?と社長。石を見ながらゆっくり歩くと二つの顔が石の中に見えてくると言う。そういう意味でもお迎え石なのかな・笑