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    Categories: 創る

職人モード

今、個展の最中だけど、彫刻の制作はしばしお休みで、石のクラフトを作っている。

依頼された形を作る事が続いている。思いや用途がある形。
先日は湯主一條さんからの御依頼で、伊達冠石のペン立てを作らせていただいた

こちらは、これから側面をピカピカに磨いたら完成です。

完成したら、これで良いかどうか、また打ち合わせに行きます。

河原で拾った桜色の石を、てとカフェに並べようかとペンを挿せる穴を開けてみた。

制作の過程で偶然できた、ねじれたような伊達冠石の破片は穴を開けて香立てに。こういう形、作ろうと思っても作れない。時々、こんな神様からのプレゼントが届く。

先日、個展の連動企画としてプレゼントした、仕上げ見本石。訳あって更に3つ作りました。

昨日、「赤御影石で小さなハート作れますか?小さな穴あきで」と相談いただいたので早速、作ってみました。


裏面は磨き。

穴の空いている方は可能な限り薄くして、表は磨かないで温かみを出してみました。

御依頼いただいた方に写真を送ったら、全部、磨いた方が良いみたいなので今度磨いてみます。依頼してくださる方にもモノへの思いがあるから、そのやり取りも楽しい。

石を割った破片をフタにした入れ物。最近のハマリモノ。石の目がある御影石と違って、玉石の玄武岩の伊達冠石は石の目がなくてせっかく成形しても、割るのに失敗する確率が高いけど、はまってるから難しいけど面白い。

これは、その割れが失敗したのを逆手にとって一輪挿しにしてみた。

割れのフタ付きの一輪挿しなんてどうでしょう。

午後のお茶を持って仕事場に来てくれたカミさんに見せたら、イイねとは言わず微妙でした。確かに一輪挿しにフタはいらない。でも作りたくなってしまったら作らずにはいられない。明日、磨いて完成させる。絶対、僕と同じように面白がってくれる人がいるはず・笑

こんな小さな一輪挿しも。

石なので重さがあるので、陶器の一輪挿しでは倒れてしまって出来ない生け方が出来ますよ。

石の蓋物で玄関にシャチハタのはんこを置きたい、とのご要望で制作中のもの。

こんな風に、割れた石の中に入ってます。

取りやすいように、お尻の方の下を削って低くして、押すと前が上がるようにしてみました。

少しでも使いやすく。喜んでいただけるかなぁ。側面を鏡のように磨き上げたら完成です。

午後は一輪挿しの穴開けをしまくりました。

早朝からぶっ通しで仕事していたので、午後、穴開けながら寝てしまいそうでした。

伊達冠石の一輪挿しの新作。

石をガンガン削った日でした。石の粉は肺に入ったら廃人になってしまうけど、そこまでいかなくても髪の毛や肌について油分を全部吸い取ってしまうので、あっという間に肌が荒れる。特にこの時期は。今日は早朝から仕事し続けたら、一日でこんなにあかぎれになってしまいました。お年寄りな僕の体には油分が足りて無いみたいです。

年末までの2ヶ月。彫刻の制作はしばし休んで、石のクラフト作品をまとめて作るときめています。
クラフトマンモードになってます。クラフトを並べるグループ展も幾つか控えています。個展などもあって、いろんな方に、いろんな提案をいただいています。ありがとうございます。

もっと、ずっと若いころ、FAXで図面が送られてきて、これを黒御影石で作って欲しい、という御依頼をいただいたことがあります。僕は「ここまで詳細に寸法が入っているのなら石屋さんに頼めば良いと思います。僕より安く作ってくれるでしょうし」とお断りしたことがあった。経験も、実力もないのにプライド高すぎ。「自分にしか作れないモノ」って思いが強すぎる馬鹿者&若者でした。そんなこと言わないで御依頼いただいたモノを作らせていただけば、勉強になることもあったかもしれないし、次の仕事につながったかもしれない。そういうことをたくさんやったほうが、よほど「オリジナル」を産めただろうに、本当に意固地で馬鹿だ。(だからこのサイトは STONE HEAD FACTORY といいます。肉体的に、ではなくて精神的に「石頭」である自分への戒めをこめて)

だから、そんな僕には「今時の若者は〜」と言う資格が無い。だけど、飲み会で「とりあえず、ビール」で宴会を初められずに、ひとりひとりが「私はカモミール」「僕はウーロンハイ」「私はカルピス杯」「あ、やっぱり僕もカルピス杯」とか言って全然、宴会が始まらないと「今時の若者は〜」と言いたくなるけど言いませんよ。僕はもっとひどい若者でしたから。

だけど、僕も少し大人になったみたいで、今は、ご提案いただいたものを作るのが楽しい。この数日、作っていたものはご提案いただいたものがほとんどでした。それを作っている間は、その方のことを思いながら作るのも悪く無い。たぶん、彫刻ではなくて、使う人がいるクラフトだからだと思うけど。彫刻の制作だと、まだまだ作りたいものが頭のなかにラインナップされていて人生の残り時間との競争で作るし、自分の思いでいっぱいだから人の意見なんか聞く耳をきっと持てない。だけど、今年いっぱい、彫刻は我慢してクラフトをまとめて作る、と決めているからか、たまたまご提案をいろいろいただいているからか、ご要望に応える形を作るのが楽しい。変わったな。単純に年をとったっていうことかね?
年が明けたら、彫刻の制作に戻るつもり。そうしたら、きっとまたすぐに「石頭」モードに戻って自分の思いばっかりになりますよ。だから石で、こんなこと出来ますか?とか、これ石で作れますか?って相談するなら今ですよ、皆さん(笑)今、それが嬉しいモードになってますから。ご予算や納期などご相談ください。条件が合わなくても、相談の中できっとなんとか叶える対案をお出しできると思いますよ。
あ、それ面白そう!と思ったものは、結局いつも作るのです。

あ、でも、彫刻の制作依頼も喜んでお受けしていますからね。例えば最近では
「磊磊(らいらい)」黒御影石
今開催中の個展のタイトルのきっかけにもなった「FU TA RI」

 

 


 #smilesfilm に投稿するために珍しくセルフィーで写真撮った。

 

 

たまき:
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