大内さん、ありがとうございます

おととし、2015年の秋に地元でお世話になっている御夫妻に石彫をお求めいただいた。

その作品「磊磊 VIII」(お届けしたときのエントリーはこちら→磊磊 VIII の納品

とても残念な話なのだけど、ご主人が今月2月9日に闘病の末、71歳で亡くなった。いろいろと励ましていただいたり勇気づけられたりした。悲しい。すぐにお線香をあげさせていただいて先日、奥様に原稿用紙3枚に万年筆で書かれた文章を見せていただいた。主人がこんな文章を残していましたよって。作品をお求めいただいた後に書かれたもののようだ。切ない。
掲載の許可をいただいたので、何かの折に自分を叱咤激励していただきたく、転載させていただきます。


我家の分不相応な買物!

寺前 大内和友

 ついせんだって、角田在中の知り合いの石材彫刻家の方より、欲しかった作品を手に入れました。正に清水の舞台より飛び込む気持ちで、購入しました。たまたま古希の祝いを迎える記念の年になっていたものですから、ついつい買ってしまいました。毎日、朝と晩にながめては満足しています。毎日が年金生活で、余裕のあるくらしではないのですが、ほんの少しだけ心に落ち着きを取り戻したような気になって、日々の励みになっています。大事にして、我が家の家宝にしていきたいと思っています。取引の会話の中で、作品に対する愛着が強いのでしょう、「いい人に貰われてしあわせだなあ」と言ったのです。毎日悪戦苦闘して出来上がった作品を手放す時の気持ちの一端を知ったような気がしました。その作品は我子と同じ、唯一無二同じものは造れないのですから、今後も短い人生ですがより輝きをもって、いきていけるようにしたいものと、作品を観ながら思っている次第です。

大内さん、ありがとうございました。どうか安らかに。