磊磊 VIII の納品

昨日、手でマット(つや消し気味)な感じに手で磨き直した彫刻作品を、買っていただくことになり、今日の午後一番で納品することになった。急遽、昼までに黒御影石で台座とサインプレート作る事にする。気持ちのはやるこんな時こそ、美味しいコーヒーをいれて気持ちを落ち着かせる。(5ヶ月前までコーヒー嫌いでしたが何かw)純喫茶 無伴奏 でいただいた Cafe de Ryuban のGUATEMALA(サンタ・カタリーナ農園)

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緑の石のテーブルで。プレートと作品台を作るには午前中だけではちょっときつくて焦るけど、焦ると失敗する。僕はおっちょこちょいだから。落ち着け、落ち着けと珈琲。

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磨き日和なのが幸い。

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プレート用の磨いてある石にマスキングテープを貼ってサインと作品タイトルを書いて彫り始める。

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出来ました。

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在庫の板石を適当な大きさに切って、オシャレに斜めの面をいれたりして成形が終了。残り2時間半。磨き間に合うか?

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なんとか、間に合いました。(写真だとあっという間だ・笑)
実はこの台の石は下の作品を作る時に出た端材。

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「山河」(作:山中環|撮影:西原直紀)
地元で好きだと言ってくださる方が多いので、同じ石で台を作りました。

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磨き終わったばかりの台に作品を置いてみました。
「磊磊 VIII」
「磊磊」は「らいらい」と読みます。

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作品プレートとサインも。
赤いラインは書いたのではなく、石自体を8段に水平方向に割っています。その割れた面に赤い色をペイントして、再び元に組み合わせてあります。カミさんとの関係を作りなおしていた頃に作っていた作品で、今から思えばそれまでの関係を一度壊して、再び再構築する、という現実を生きていた頃でしょうか・笑
玄関に置いてあったこの作品を(わが家は自宅でカミさんが音楽教室を主宰しているので)お孫さんを車で送り迎えする度に見ては、欲しいと思っていた、と聞かされて思いがけない事で感激したのが、ついこの間のこと。「でも、売っていただくことは出来ませんよね」とおっしゃるので、そんなことは無いとは言いましたが。

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なんとか、準備完了となって家に戻るときに、田んぼの畦道に稲わらを大きく丸めたものが並べてあり、いままさに積みこむところだった。

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午後、一番でお届けに上がりました。放射能の問題で行動を起こした時の仲間でもあり、いろんな場面で助けられ勇気づけられてお世話になっている御夫婦。おふたりで僕の作品を欲しい、と思っていた、と。

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お茶をいただいた。池田さんの器だった!
家の中に絵が沢山飾ってあって、聞くと奥様の描かれた油絵だった。始めたのは子育てを終えた後だと聞いてその出来栄えにびっくり。ご主人がものすごい読書家なのは知っていたけど、おふたりとも芸術にも関心があったのを初めて知った。よく考えたら、石の抽象彫刻作品を自分で購入する方が、芸術に関心が無いわけは無いのだった。自分で作った彫刻は自分の手元に置いておきたいのが本当の気持ち。だけど、それでは食べていかれない。だから、こんなおふたりのところに、もらっていただくのはありがたく幸せなことだ。それに「夫婦」という関係はどんな夫婦だって年月を積み重ねるのは簡単では無かったはずだ。地層のように積み重ねた歴史のようなイメージもあるこの作品は、おふたりにお似合い。台の石は土手の水門の脇に建っている野外彫刻を作った時の石ですよ、と言うと、わざわざその作品を土手まで見に行ったんですよ、と言ってすごく喜んで感激していただいた。僕はそれを聞いて感激。

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玄関には去年の個展の際にお求めいただいた、伊達冠石の一輪挿しが飾られていた。その個展には80点近くの花器を作ったけど、これは自分でも気に入っていたものだった。そうかこれを選んでいただいていたのか、となんか合点がいった。
そして花器の上に飾られている花の絵も、奥様の描かれた油絵だった。お世辞ではなくとても素敵な絵だ。他の絵に比べてタッチが少し違っていたのて尋ねると、指で描いたのだそうだ。油絵の具を指につけるなんて自由だ。僕なんか油でべとべとになるだけで尻込みしそう。それにしても色の使い方、タッチ、何より明るい感じが玄関に飾る絵としては最高ではないか。オディロン・ルドン の描いた花の絵のイメージも感じた。

また、時々、自分とおふたりの作品を見せてもらいに、何より楽しいおしゃべりをしに行かせてもらいます。本当にありがとうございました。

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もっと、お話をしていたかったけど、打ち合わせのアポがあって出かける。

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山道を登りながら、あんまり空が広くてキレイで、またイマソラ写真を撮った。毎日、秋の空がキレイですごい枚数の写真を撮っている。毎日空の写真ばかりたくさんで辟易としている方がいらっしゃるかもしれませんが、これでもかなりセレクトしてるんですよ・苦笑

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お電話をいただいて、出かけて、打ち合わせて。石の、とても素敵な提案をいただいて、幸せな気持ちに包まれて帰路につく。

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個展の合間をぬって制作に励みます。近く、皆さんにもお披露目できると思います。