プレゼント

お友達のお百姓さん「里の家」をオープンしてパーティーによんでいただいた時に「お祝いに彫刻をプレゼントします」と言ってあっという間に年の瀬。このままでは年を越せない、とお昼に4つの作品を車に積んで出かけた。好きなのを選んでもらうことにしたのだ。
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 この方たちも僕と同じように東京からやって来た I ターン組だ。宮城暦は1年先輩。そんなにしょっちゅう会う訳ではないけれどいつも頭の隅にいる方々のひとり。毎日やるべきことをおろそかにせずこつこつやっていくことが大切と言われ実際にそのような地に足の着いた生活を実践されている。とかくミーハーでこつこつ着実に生きて行くということから縁遠い僕にはたまに会って今、自分がどんなところに立っているかを黙って教えてくれる道標のような大事な友達だ。
 先のパーティーで彫刻をプレゼントしたいと言った時に「たまきさんの作品、僕とても好きなんですよ。でも高くてとても買えないと思ってました。思っていればかなうんですね」といってとても嬉しそうな顔をしていたことが今でも忘れられない。
 最初から売ることも念頭にあるクラフト作品と違って自分の作品はなかなか手放せないものだ。買っていただいた作品でも今どうなっているかなぁとときどき思う。そんな僕だから作品をプレゼントするなんてことは今までにも数えるほどしか無い。というか意識的に「やらないようにすること」の中にリストアップしている。例外もあることはあるけれど、どうしてももらって欲しくてプレゼントしたのはロシアシンポジウムの時優しくしてくれた女性に本制作の合間に作った小さな石の作品を帰国直前に渡した時くらいだ。(お礼に分厚い上下巻きの恋愛小説をいただきましたが僕はロシア語が読めません・笑)
 傾向や石種の違う作品4つを持って行くとき「きっとこの作品を選ぶだろうな」と思うひとつの作品があった。そして彼が実際に選んでくれたのはまさにその作品だった。4つの中では一番シンプルな形の作品だ。でもその作品を選んでくれたこと、それが僕の予想と一致していたことで、作品をプレゼントして本当に良かったなぁと思った。とても幸せな気持ちになった。