わらわれたって いいのです

 かねちゃんが ろうかで
 おしっこ もらして なきました。
 みんなが くすくすわらった とき
 あしのわるい かっちゃんが
 ばけつに みずを くんで きて
 さっさと ふいて やりました。
 みんなが くすくす わらいだし
 おべっかだ。
 むり すんなよと いいました。
 べろを ぺろっと だしました。
 でも、かっちゃんは へいきな かおで
 ぞうきんあらいに いきました。
 あしを ひき ひき おりて いくとき
 あたいが いくよと
 おもわず わたしが かけて いったら
 じゃ ふたりでねと かっちゃんは
 にっこり わらって いいました。
 それから ふたりで 
 れんげの はな つんで かえりました。
辻田東造 作 (新改訂文学読本「はぐるま」第3巻)


 カミさんの祖父の辻田東造。日本に最初に魯迅を紹介した人だけど若くして亡くなってしまい、歴史の彼方に消えそうになっている。短い文章に小さく心が動いたので、このブログにも記録しておきます。
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