ルオー「ミセレーレ」版画集

 少し前。母親から画集が送られてきた。

13060504

 表題は「MISERERE」
 太い輪郭線でキリスト教をテーマにした作品で知られるジョルジュ・ルオーの版画集。
 佐藤吉重さんという方が、このルオーの版画集の全作品58点を所有していたのだけど東日本大震災を被った東北の人たちに見てもらいたいという強い思いで、震災の翌年(2012年)に宮城県美術館に寄贈されたのだという。

13060505

 たまたま僕の母親が、この方の奥様と友だちで、寄贈した作品が図録にまとめられた物を「謹呈」されたのだけど、「すごすぎるから、とりあえずあんたの手元にあった方が良いから、そっちに送っておくから」とよくわからない理由で、寄贈者の印刷された手紙とともに今、僕の手元にある。

13060507

 (オリジナルの)版画集は450部作られて425部がナンバリングされてパリで販売されたらしい。宮城県美術館に寄贈されたのはNo,127。
会場に販売された「ミセレーレ」の外箱の本物が展示されているけれど。驚く大きさだ。

13060508

 今日、美術館でゴッホ展の図録は売られていたけれど「ミセレーレ」の図録は販売されていなかった。寄贈者に感謝を込めて作成され、知り合い、関係者に配布されたようだ。

13060506

 今だけ、宮城県美術館で全作品を一度に見られる小企画展をやっています。展覧会場で作品を見るときは、是非、それぞれのタイトルを頭の中で音読しながら見る事をオススメします。より作品の世界が伝わってくるし、思わず吹き出してしまう作品が何点もありましたよ。

 それから1922年〜1927年の間に作られているので、その年代と作品を見比べるのも面白い。さすがの巨匠もこの版画に最初に取り組み始めた年の作品は、やや平板でルオーらしさに欠けるところがある。だけど1926年、1927年のものは、版画でも重厚な油絵のようなマチエールを得ている。最初の頃と最後の頃では全然、質が違うのでそれを見比べるのも面白い。年代順に並んでなくてランダムだけど、そうやってみていくと、だんだん「あ、これは後半の頃のモノだな」とかわかると思いますよ。

 ただし全作品を一堂で一気に見られるのは今だけです。気になる方は是非。今月6月30日までです。新収蔵 ルオー版画集 『ミセレーレ』(詳しくはこちら)