個展通知の葉書

040323.jpg
1995年のことだからもう10年近くも前のこと。
「金沢工芸大賞コンペティション」という工芸のコンクールに河原の石を使った変わった花器を出品したことがある。

後日、入選作品の掲載されたカタログが郵送されてきたのでぱらぱら眺めていると鯛の形をした小皿が目についた。きらびやかで楽しげで絵付けと形がマッチした、食卓に並べてみたいと思わせる小皿だった。作者名を見ると大学の時に仲良くしていた女性と同姓同名だったので、ちょっと驚いたけど、その子は大学のとき陶芸を勉強していたわけではなく、でも、卒業してから粘土を捏ねたりしているという話を聞いていたので、もしかしたらと思って電話してみるとまさにその女性だった。
聞けば金沢で本格的に焼き物を勉強しているとのこと。
金沢は歴史的にも芸術が息づいている工芸都市で漆や陶芸のレベルは日本でも高いと思う。
そんな町で勉強をしていると言う彼女に(本気でやってるんだなぁ)とは思っていたのだけど。
その後、しばらく連絡が取れなくなっていた彼女から今日、個展の案内状が届いた。
案内状の略歴を見ると同じ入選カタログに名を連ねた翌年、工房を終えさらにその数年後、更に制作を続けるため英国に渡っていたのだった。そこで英国の伝統的な陶芸をも学んでいたのだった。案内状で久しぶりに見た作品は以前の物とはまた違ってはいるけれど、しなやかで強く優しい印象は変わらなかった。素晴らしいと思った。
あれからの年月、僕はどれだけきちんと歩いてきたのだろうか。
そんなことを省みさせてくれた個展通知の葉書だった。
==================
[2004.3/25 追記]
今日発売の「芸術新潮」に英国の工房での彼女が載っていた。
すごく、良い顔になってた。