内部被曝

先日、放射線の事を結構調べたり勉強している方が「孫が生まれたんだけど畑の野菜食べさせたら駄目かなぁ」と言うのを聞いてびっくりした。冗談で言ってるのかと思ったらそうではなかった。
放射能と共に生きていくしかない僕らは内部被曝を可能な限り避ける事以外に健康を守る道は無い。ただ「内部被曝」の事をまだよく知らなかったり、あまり重大な問題と感じていない人もいるようなので基本的なことだけを出来るだけわかりやすく書くことにします。(僕が書かなくても少し調べれば有意義な情報はいくらでもあるのだけど)せめてこのブログにお越しいただいている皆さんの中に内部被曝の怖さを知らない方がいたら、それを知るきっかけになってくれれば。皆さんの健康が損なわれませんように。
自分の周りにある放射線から被曝するのが外部被曝。
到達距離の短いα線(アルファ)、β線(ベータ)と、到達距離の長いγ線(ガンマ)があってγ線は到達距離が長いので外部被曝の大きな原因になる。コンクリートでやっと遮蔽できるレベルなので長袖を着ていても被曝は避けられない。ただ家に入るときに衣服を払って入ることで粒状の放射線を落とせるので着ていた方が良い。髪の毛にもつきやすいので帽子を被るのもオススメ。そしてマスク。
内部被曝は体内に入った放射性物質から自分の肉体が被曝すること。体内に入る経路は
・(放射性物質の舞っている空気を)呼吸 する
・(放射性物質が含まれている)食物 を食べる
・(放射性物質が含まれている)水 を飲む
の他、眼や粘膜、怪我等から体内に取り込まれてしまうのだけど内部被曝の問題は外部被曝では到達距離が短いから影響の少ない、α線(アルファ)、β線(ベータ)でも体内の細胞がやられる、ということ。しかも到達距離の短いことが悪い方に作用する。
 話をわかりやすくするために乱暴な例え話にして体内に放射性物質が入ってしまう事を小さな銃が体に入った事に例えてみる。
 到達距離の長いγ線はプシュッと弾を発射すると体の細胞を傷つけながら突き抜けていく。だけど到達距離の短いα線とβ線はプシュッと弾が発射されても到達距離が短いから突き抜けない。弾のエネルギーを全て細胞で受け止めることになってしまう。動いた部分の細胞を傷つけて。だから傷つけられ方が大きい。
11092001.jpg
内部被曝についての考察(琉球大学 矢ヶ崎克馬)より
内部被曝の専門家の矢ヶ崎氏は以下のように説明しています。

放射線が身体を突き抜けるということは、突き抜けた放射線は相互作用しなかったということです。内部被曝する場合は相互作用の非常に強い放射線(アルファ線、ベータ線)にも被曝することになります。

体の中に取り込まれた放射性物質は体内の骨や筋肉などにもとりこまれる。体内から細胞を撃って傷つけるその銃が、代謝や小便、大便などで体外に出ていってくれてその力が半減するまでの時間は下の通り。(無くなるまでの時間ではなくてあくまで半減ですよ)
・甲状腺に取り込まれたヨウ素131 約120日
・体に取り込まれたセシウム137 約70日
・骨に取り込まれたストロンチウム90 約50年
・骨に取り込まれたプルトニウム239 約50年
残念ながら僕がストロンチウムやプルトニウムを取り込んだらもう一生一緒だ。体の中から撃たれないようにするには体の中に入れない以外に方法はない。そして体に入れないためには放射性物質がついていたり含んでいるモノを食べない、飲まない、吸わない。これしかない。それでも完全に防御するのは難しい。
矢ヶ崎先生の言葉を再度借ります。

私たちは汚染される覚悟が必要です。
しかし、悲観して恐怖の内に汚染を待つのはよしましょう。
この怒りを胸にしっかり収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、
最大防御を尽くしつつ、やるべきことはすべてやることしかありません。
そして核のない新しい日本を創ることを決意するしかないのです。

これをお読みの皆さんも出来れば気をつけてもらえればと思います。そんなこと言ったら食べるものが無くなるとか面倒くさいと言う気持ちもよくわかります。5年後10年後の健康と今はそこまでやらなくても、とどちらをとるかは、もはや個人の生き方の問題。ただ原発の放射線と癌やその他の病気との因果関係は不明だとの安全デマを国もテレビも新聞も相変わらず流し続けているけど僕には信じる事が難しい。YouTubeを見ればチェルノブイリの事故で被曝した人たちがどれだけ健康にダメージをおったかいくらでも出てくる。特にその時赤ちゃんや子供だった子らの被害は深刻だ。甲状腺癌のため首に手術の跡がある子供の数たるや(チェルノブイリの首輪(チェルノブイリネックレス)と呼ばれている)。動画の中で泣きながら訴える膨大の数の彼らの全てがウソをついているのか。チェルノブイリの事故と彼らの病気との間に関係は一切無いとどうして思えるのだろう。フクシマネックレスなんて事例を絶対に生んではならない。
 ちなみに僕の住んでいる所は福島第一原発から約65km。僕の家は大体 0.3〜0.4μSv/hより低かったり高かったりです。日本の国の基準で言えば安全上問題は無いという。ちなみに以下はチェルノブイリ原発から30kmの立ち入り禁止区域の境界で爆発事故から7年経った時に測った放射線値。僕は今チェルノブイリの立ち入り禁止区域より高い放射線値の中で暮らしている。

 放射能と共に生きていくしかないと覚悟した人たちが今、一番話を聞きたがっているのは内部被曝の専門家である矢ヶ崎克馬氏の話だという。改めて5/18に先生の話を聞けて良かったと感じている

 きっとこの頃から僕も「本気」で内部被曝をしないように意識しだした。
 カミさんは家系的に癌にかかっている人が多いため放射線で癌になる確率の方に入ってしまう可能性が高いと感じて大震災の電気が通じない少ない情報の中、早い段階でもうそういう意識に変わっていた。僕が停電と断水と情報の無い状態から戻ったときから外部被曝と内部被曝を極力避けられたのはほとんどカミさんのおかげ。
 陸の孤島になってしまっていた時だけはいただいた地場の野菜を食べてしまったけどそれ以降は汚染度のわからないものは基本的に食べていない。自費で測定業者に放射線値を測ってもらっているお百姓さんたちがいたので安全が確認されたものはいただいたりして食べた。当然、駄目なモノもあったし安全なモノもいくつもあった。放射線値をきちんと測定した友人の農家の卵。去年の米、乾麺、缶詰、レトルト、海外のモノ。ミネラルウォーター。公表されている測定値や産地とにらめっこして買った野菜。(ただし、twitterをやっている人には周知の事実ですが産地のPOPを偽装して野菜を売っているスーパーは残念ながらたくさんあります。twitterならそのお店や品名もわかるので対策が出来る)
「続きを読む」には上で引用した矢ヶ崎先生の全文を。時間のあるときに是非読まれることをオススメします。
 よく自然界からもすでに放射線を浴びているのに何を今さらとかX線や飛行機での被曝と比べてたいしたことないという人がいますが上記にも書いた通り矢ヶ崎先生は、相互作用の無い被曝と相互作用のある被曝を比べているのは比較する土台に共通性のない比較と切り捨てています。今でも時々、講演会などでこんな話をする学者もいるけど相当、勉強していないか悪意がある。
 さらには煙草の害と比べて煙草の方がよっぽど健康に害があるから気をつけろ、などというのは論外。子供が煙草を吸うか?子供は理不尽な暴力で被曝させられている。自分で健康のリスクを承知で吸っている煙草やレントゲン、飛行機での被曝と原発の放射線の被曝を比べて大したことない、と言うのはもはや悪意と言うより犯罪。
 最後に今までほとんど内部被曝について勉強してこなかったという方には以下のブログの資料がオススメ。説明文を少なく可能な限り図解してくれています。
「外部被曝と内部被曝」(市民の街ブログ:2011/06/04)
今まで見た資料の中で一番わかりやすい。


矢ヶ崎克馬さんからのメッセージ
我々は内部被曝隠蔽の歴史を学ぶ必要があります。
被爆者が内部被曝を隠ぺいされて苦しんできている事実を、事実として学びましょう。
被爆者は原爆にやられ、その上、内部被曝を切り捨てた「被爆者認定基準」によって苦しめられました。
被爆者は二重の苦しみを味合わされたのです。原爆症認定集団訴訟はそのことをよく物語っています。
第1次集団訴訟の全判決が内容的に内部被曝を認めて原告側が勝訴したことを再認識しましょう。
そして今回の原発炉心溶融の事態に、内部被曝隠蔽の歴史を繰り返させてはなりません。
内部被曝を否定された被爆者の苦しみを再現してはなりません。
ますます深刻になっていく放射能汚染の実情が、おずおずとではありますが明らかにされつつあります。
汚染は放射性微粒子によって進みます。
試算ですが、放射性微粒子は発電炉上空100mに吹き上げられて、毎秒4mの一様な風に乗るという想定で計算すると、直径1μmくらいならば1500kmはゆうに運ばれます。
風が強ければもっと遠くまで運ばれます。現実はシミュレーションのように、放射能汚染の地域が拡大しています。チェルノブイリの時の日本の汚染状況よりはるかに高い汚染が進んでいるようです(小出裕章先生資料)。
スギ花粉の直径が30-40μmですが、放射能微粒子の直径はその10分の1以下のサイズです。
普通のマスクでは防除が困難なサイズです。
ずいぶん広範囲な地域の住民が内部被曝を受けざるを得ない危機状態が進んでいます。
私たちは汚染される覚悟が必要です。
しかし、悲観して恐怖の内に汚染を待つのはよしましょう。
この怒りを胸にしっかり収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、
最大防御を尽くしつつ、やるべきことはすべてやることしかありません。
そして核のない新しい日本を創ることを決意するしかないのです。

今、端的に言って、日本のどこにいても汚染は避けられません。
汚染から精神的に逃げていれば、被災地救援や日常生活にも、「恐怖」は足かせになります。
政府の「安全」、あるいは「直ちには健康に影響は無い」という
不誠実極まりない「安全神話」に乗せられば、しばらくしてから現れるとんでもない悲劇が待っています。
みなさん、開き直って楽天的になり、支え合って、最大防護を致しましょう。
やるべきことは全部やって、危機を脱出しましょう。
救援も生活もやるべきことは全部やって 切り抜けましょう。
正しい知識を獲得することが大切です。
心構えは、「みんなで支え合う大きな利己主義」を持ちましょう。
テレビで流されているような、「汚染されたホウレンソウを一年分食べても平気です。」
等という蛮勇は、無知であり人間を大切にする思想に欠けたものです。
正しい知識を持ち、勇気を持って、賢く人間愛に基づく判断を致しましょう。

ガンマ線発射の放射性放射体が測定されたら、
その背後にはたくさんのアルファ線放射体やベータ線放射体が一緒にいます。
政府発表は「X線検診の被曝量と比較して・・」と言いますが、
医療では被曝させるけれども被曝する危険以上の医療的メリットがあるという目的を持った被曝です。
それだけに被曝限度も大きく設定されているものです。
このようなメリットを伴う被曝と迷惑千万な受動被曝を比較すること自体が、
まさに不遜な行為ではありませんか?
飛行機に乗った時の被曝といえば宇宙線による被曝です。
日常受ける被曝には様々な原因がありますが宇宙線がかなり寄与しています。
宇宙から飛んでくる放射線は透過力が高いものです。
透過力が高いということは物質(身体)との相互作用が少ないということです。
放射線が身体を突き抜けるということは、突き抜けた放射線は相互作用しなかったということです。
内部被曝する場合は相互作用の非常に強い放射線(アルファ線、ベータ線)にも
被曝することになります。比較する土台に共通性のない比較です。

このような発表をする人には、内部被曝の危険性を勉強してくださいと言いたいものです。
がんになって亡くなるのは、1万人に一人くらいのものでしょうか
(これは多分非常に低く判断していると思います
《肥田舜太郎先生のチェルノブイリ放射性降下物被曝時の乳がん死亡調査》)?
(それでも人口が1億人だと1万人!!!)
これらの方は病名が判明してもその原因は決して解明されることがありません。
決して国家的に補償されることがない被害です。
それだけに、原子力発電をやめさせることしか報いる方法がありません。
我々の根本的な責任です。閉じ込めることしか対応方法がない原子力発電は、
本質的に未熟なテクノロジーなのです。
今は、みんな「貧乏くじは当たらない」と楽天的な願いを持ちましょう。
今はあくまで楽天的に、悲観を先取りせず、悲劇の確率を最小限に食い止めることです。
あくまで楽天的に憲法の精神で、『個の尊厳』を守ることでやり遂げましょう。
汚染が進む地域で「建物内退避」は危険の増幅です。内部被曝を拡大します。
政府は、住民避難領域を拡大すべきです。
被曝弱者である乳幼児、妊婦、感染症罹患者等々の避難をすぐ行うべきです。
汚染が確認されている地域だけでなく、もっと広い範囲にいる人も放射能汚染の対応を致しましょう。
完全防護はできなくとも、部分的でも可能な限り防護することです。
(1)マスクをしましょう。
(2)帽子を被りましょう。肌をむき出しにせず、外套は埃の付きにくいものがベター良いでしょう。
家に入るときはマスクをしたまま、埃を払い、それから家に入りましょう。
(3)野菜等の食品はよく洗うことです。流水で洗いましょう。

お湯でゆがけばもっと効果が上がるようです。
この判断は放射性微粒子が表面にくっついているだけであると判断をしています。
放射性物質を根から吸い上げて内部が汚染されている状態ではないと願っていますが、
そうなったら廃棄しかありません。
汚染されている水から放射性物質を取り除くことは一般家庭では難しいものです。
防護のことは知恵を出し合って致しましょう。
政府は、この事態を客観的に把握し対処できる組織を確保し、体制をとること。
政府は正しい認識を持つこと、迅速に正確な情報を提供すること、
人間尊重の立場から対処すること。
政府が客観的な科学的な認識を確保しない限り、
推進派のまやかしの安全性吹聴は続きます。
私たちの声はそろえましょう。

脱原発の日のブログ(2011-03-31 02:31:03)より)
※太字、赤字は僕がつけたものです


矢ヶ崎先生の話をもっと聞きたくなった方はこちらを。


資料
内部被曝についての考察(琉球大学 矢ヶ崎克馬)
(10ページのpdfファイルです)


「内部被曝の恐ろしさは、1千万分の1グラムのヨウ素131が体内に8日間とどまっていた場合、1シーベルト被曝した計算になるほどなのです(矢ヶ崎教授)週刊朝日より


おまけ:放射性物質の半減期
クリプトン90———-32.3秒
キセノン138———-14.1分
フッ素18————-109.8分
テルル132———–3.204日
ヨウ素131————8.04日
テルル129———–33.6日
ポロニウム210——–138.4日
ルテニウム106——–373.59日
コバルト60———–5.27年
水素3—————12.3年
プルトニウム241——-14.0年
ストロンチウム90——-28.8年
セシウム137———-30.0年
ラジウム226———-1600年
プルトニウム239——-2.4万年
ウラン235————7億年
ウラン238————45億年