ラオスのファブリック展

蔵王のミュゼ・マエナカへ。ラオスのファブリック展を見る。

14061204

民族工芸的なものを想像して行ったのだけど、一瞬でそれが間違いだったとわかる質の高い絹織物だった。

14061205

仕事で一緒に行けなかったカミさんが絶対、手に取るであろう配色の布と思って写真を撮った。(写真見せたら、絶対行くと言った。やっぱりな)

14061206

ラオスは海に面していないために近代化が遅れ、このような手仕事が奇跡的に残った。そうは言っても現代にあって放っておけばその技術や伝統は失われる危機にある。危機感を持った将積厚子という方がラオスに技術の継承をや教育を続けられるように織物学校を立ち上げて活動されている。京都やニューヨークにも拠点を持ち、日本の伝統から世界のデザインまでの視点を持っているので、ラオスの伝統を生かしつつ世界に通用するデザインにアレンジして商品として成り立つようなプロデュース的なことまでされているとギャラリーのオーナーからお聞きした。

近代化に遅れた事が功を奏して、工業製品が大量に入ってくることもなかったので今でも染めは自然のものを使った草木染めがほとんど。これも守る努力をしないといつかは人工のものに取って代わることになるだろうけど。

14061207

織物をやっている方なら卒倒するであろう織り。あまりにもレベルが高すぎて説明を聞かないとわからなかった。世界で大切に守るべきレベルの世界遺産だ。

14061208

そんな織物を実際に手にとって眺められる幸せ。緻密な織りの裏側もまた緻密だった。どれも向こう側が透けて見える繊細さ。
僕には織りの知識が無くて本当の価値をわからないんだろうなと思うと少し残念だったけど、ただ眺めるだけで、その光沢と色と配色の美しさにうっとりした。

14061209

もし行かれる方は上の左のシンプルなオレンジの布の真ん中にある菱形を良く見てみて!そんなところにさえ緻密な、緻密な織りがていねいにされている。本来はこの紋様も伝統的なもので布いっぱいに施されるものらしいけど、それをあえてひとつだけにすることで現代的なデザインになり、今を生きる人たちの需要に合うものへと変身させている。どんなに素晴らしいものでも売れなければ資本主義の世界では、結局いつかは廃れてしまうのだから大切な事だ。もちろん細心の注意を払ってバランスをとらなければいけないと思うけど。

14061210

カミさんはこれを買うと言ってます・笑(っていうか絶対似合うから買った方が良いよと今、薦めた)

14061211

実は来月からここでやっていただく個展の打ち合わせメインのつもりで行ったのだけど、素晴らしい展示だった。モノを見てドキドキした。
出していただいたお茶は最近、台湾で大流行だという青いお茶。花びらの色。興奮を抑えるハーブティーらしい。ちょうど良かった。この展示でかなり内面は興奮していたから。

14061212

パソコンでキーボード叩いている方が大金が入る時代に、習得に人生の長い時間がかかり、しかも仕事にも時間が必要な職人仕事や手仕事の継承はどの国でも難しい問題だ。ラオスのこの素晴らしい織物がこの先も生み出されることを願う。

14061213

この布だけは昔のものだそうだ。素朴に見えるけど緻密の極致。残念ながら、今これをもう一度織ることが出来る人はラオスでもたぶん見つけられないという現実。

14061214

 

手仕事、アジアの布、織物、布、染めに興味がある方はこれだけのものを一度に見られる機会はそう無いと思います。強くおすすめ。

(来月、ここで個展をやっていただくから言うのではありませんよ・笑)