スピッツ ♪ランプ

先日の東京行きのドライブの時、HIROMIさんにダビングしてもらったスピッツのアルバム「小さな生き物」をずっとかけていた。カミさんがその後も車の中でずっと聞いていて気が付いたって。「ランプ って原発の歌だね。」って。本当だ。
→スピッツ ♪ランプ♪ 歌詞

ただ信じてたんだ無邪気に ランプの下で
人は皆もっと自由で いられるものだと
傷つけられずに静かに 食べる分だけ
耕すような生活は 指で消えた
(歌:スピッツ 作詞:草野正宗)

「指で消えた」はヒューマン・エラーを象徴しているのだろう。

原発の時、国破れて山河あり、という言葉の意味が僕の中で変わった。
戦に負けて何もかも無くなっても「山河」は残っているという希望の言葉でもあったのだ。だけど放射能を撒き散らされた大地は、耕して作物を育てて生きることさえ奪われた。何があろうと細くなろうとも連綿と続く人間の営みが、人間によって(生み出されたもので)完全に切られる、という人類史上初めての悲しい出来事だった。「耕すような生活」が「指で消えた」
なんて象徴的な歌詞だろう。

もちろん、草野正宗が直接的に原発や放射能の事を念頭に書いた詩ではないかもしれない。だけど聞く人がそれぞれの思いや感情を載せて受け取ることが出来るのが素晴らしい詩だと思う。その時、すでにその詩は、聞いた人に深く寄り添っている。その人の詩になっている。

草野正宗の歌詞が、素晴らしいとスピッツのファンなら誰もがみんな思っているだろう。それぞれが深く心にとどめている歌詞もきっとあるはずだ。現代に生きる詩人の中でも飛び抜けた存在であることは間違いないと思う。
いつも、新曲を聞く度に驚かされる。その言葉遣いに。そしてみんなが心の中に確かに持っているんだけど、言葉に出来ない世界や感情を今ある言葉を使って手のひらに包んで差し出されたようだ。ロビンソンなんてまさにそれ。
→スピッツ ♪ロビンソン♪ 歌詞

同じセリフ 同じ時 思わず口にするような
ありふれたこの魔法で つくり上げたよ

「魔法」に共感する。そしてこの「魔法」で作り上げられた世界の描写

誰も触われない 二人だけの国 君の手を離さぬように
大きな力で 空に浮かべたら ルララ 宇宙の風に乗る
(歌:スピッツ 作詞:草野正宗)

今のある日本語の組み合わせだけで、確かに二人だけの国が見えるようだ。こんな世界を他の誰がこれほどリアルに見せてくれるだろう。

斉藤和義の♪メトロに乗って も東日本大震災というものがあった後に、その時の思いを含めて書かれたと(勝手に)思っている。ドライブの時に大きな声で何度も歌っていたときに、突然当たり前の世界が無くなることがあるんだ、今日が迎えられたのはすでに奇跡なんだ、って改めて思わされて涙が出た。今でもこの歌を声に出して歌うと泣きそうになるので、最近は聞くだけにしてるw
→斉藤和義 ♪メトロに乗って♪ 歌詞

椎名林檎の歌詞も何度も頭の中で繰り返すことがある。ありあまる富の歌詞も良いな。

何故なら価値は 生命に従って付いている
ほらね君には富が溢れている

→椎名林檎 ♪ありあまる富♪ 歌詞


今日の雲