仙台浪漫

一年ほど前にシェアハウス「仙台浪漫」のオーナーの方より門柱の表札を石でお願いできないか?とご相談があり、何パターンかのデザイン案を出したり、石の試作をしたりさらに細かなデザインを詰めたり、とやりとりしていた石のプレートを今日設置してきました。
古い家をリフォームしオーナーが少しずつ手を入れセンスある家具やしつらえでまとめた共用スペースは落ち着いたくつろげる空間になっています。留学生が利用することも多いため座のスタイルではなくて椅子とテーブルの空間になっています。

シェアハウス「仙台浪漫」についてはこちらで詳しい説明を写真とともに見られます→

 

この門柱に取り付けます。事前に一度現場確認をしましたが以前小さな表札がはめられていたであろう凹部分に凸をほぞのようにうまく噛み合わせて取り付けないといけません。もし穴にうまくハマらなかったら一大事。

その時は石を削るかコンクリートを削るか。そのためにガソリンエンジンの発電機も積んできてます。ダイヤモンドカッターやグラインダーも。それ無しでは手も足も出ないから。木材のように叩いてなんとか入れる、ということは不可能。大事な作品が割れるだけです。小さなプレートひとつ取り付けるだけですが石だとなんだか大ごとです。

それに何かトラブルがあっても対処できるようにいろんな事を想定してまず使わないと思われる道具も用意してます。いつものことです。要するに小心者なんですね。

これがプレートの背面。複雑な形をしてます。凸部分が中央にないのはコンクリートの溝に干渉しないようにするためです。そして接着するボンドの効きを良くするために細かな溝やキズを付けてあります。ここにボンドが食いついて接着力が上がります。平らなままだと最悪の場合。剥がれてしまうことも。

試しにはめて見た時は手が震えました。でもどんぴしゃりで収まってくれたのでボンドを用意して接着します。

うまく取り付けができたのでビニール袋をかぶしておきます。実は本当は晴れが数日続いた日に施工したかった。接着作業に水気は大敵です。ただ8月1日にこのシェアハウスのオープンハウスがあってそれまでに取り付けを間にあわせることになってプレート自体は完成していつでも取り付けの臨戦態勢にあったのだけど天気予報が毎日毎日雨。晴れないまま今月も半ばを過ぎ、先の天気予報を見たら。。。

絶望的な状況。今日は昼と夕方に雨でそれ以外は曇りの予報だったので今日しかない、と決行しました。でも霧雨の中を現場に向かって走っている時は可能性は5分5分だなあとちょっと暗い気持ちで。とりあえず間に合った!後は夕方ボンドが固まったら水がしみ込まないようにシーリングをして工事完了です。ビニール袋をかけるところまで雨無しで出来たので最悪夕方大雨だったら後日シーリングすればいい。

シェアハウスの中を見せてもらいました。すっきりした玄関。小さな鉢がひとつ、版画がひとつ。

昔の布張りのガラスまではまっている障子が良い味出してます。椅子のデザインも畳に合ってる。

そして印象的なステンドグラス。ちょうど今日の河北新報にこのステンドグラスのことがニュースになって掲載されたそうです。

河北新報 より

神様。あ、石の台は仙台での個展の際にお求めいただいたものでした。妙に合ってる・嬉

朝の接着作業の後、養生して仙台のギャラリーを回って夕方戻ってきました。コンクリートの門柱の模様の凸凹が大きくて水が入らないようにシーリングしないと染み込んだ水が冬に凍って体積が増える時にプレートを剥がしてしまいます。

施工完了。

これは完成した時に晴れた仕事場で撮ったもの。伊達冠石という世界でも稀有な泥のようなものに覆われた玉石の泥の部分が少し残るように板状にして上部の割れは金色に塗装&金ラメ加工。同様に金色に塗装&金ラメ加工してある文字はアルファベットはサンドブラストで。漢字はあえてフリーハンドで温かみをだしてあります。


シェアハウス 仙台ロマンのオープンハウスが 2020年8月1日 土曜日 12:00〜18:00 に開催されます。
興味のある方はFacebookイベントページに詳細→

 

これまで野外彫刻やその他の石の作品の設置・施工で雨に降られたことがない。中にはユニック車や宿泊の日程が決まっていて台風が迫っている中決行せざるを得なかった長野県のモニュメントも間一髪雨をくぐり抜けて建てられた。しかも翌日、木漏れ日が差す中営業写真まで撮れた。
そして8/1のオープンハウスに間に合うように今月中の取り付けが必要だったストーンプレート。毎日天気予報を確認してここまで雨。そしてこの後もずっと雨。今日昼と夕方以外は曇りの予報だったのでダメ元で早朝霧雨の中を出かけた。結局現場は雨が降っていなくてそれ以前の雨でコンクリートが濡れていたらボンドを使う施工ができないところだったけどそれも大丈夫で朝、貼りつけて養生し、夕方シーリング作業を終えて帰ってきた。雨の中を。これで石の作品の施工・設置の時は雨に降られないという記録がまた伸びました。これまで100%。

感謝の気持ちを込めて手を合わせに来た竹駒さんはコロナの対策で閉門が5時に早まってました。なので門の外から手を合わせた。僕を助けてくれたのがどこの神様かわからないけどありがとうございました・笑!
ああ、間に合って良かった。