川端 誠さん

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お供だちが主催した「絵本を楽しもう」に出かけて、絵本作家”川端誠“さんの話を聞いてきた。


「ひらきよみ」(一般的には読み聞かせと言った方が通じるだろうけれど川端さんは「聞かせ」という言葉に高圧的なものを感じて嫌いなんだそうだ)では最新作の「うんこ日記」から始まって10冊以上は読んでもらっただろうか。腹を抱えて笑っている間にもったいぶらずに次々とページをめくり読んで聞かせてくれる。本を閉じて裏表紙の絵を見たところで本当の終り。噛み締めたくなる余韻。間に作者ならではの制作の苦労話などを面白おかしく話してくれる。「作り手が苦労すれば見る方はただ楽しいんです。作り手が楽すると見る人が苦労するんです。作り手の苦労は全然見えなくていいんですけど」全く同感。俳句のように凝縮したページ数の中に思いを込めるためにどれだけのアイデアと試行錯誤と時間と手間をかけてその数ページを制作しているのかがとても具体的に語られた。それどころか後半はスライドで絵が完成して行くまでの何段階かの制作過程の写真、制作の様子、膨大な資料(これがまた落語の園生の写真が着物の資料だったり、飲み屋のメニューが舟盛りの資料だったり書き出すときりがない)筆、試し塗りの試行錯誤、版画の作品の制作過程、1冊を作り終えるまでに折って使った膨大な量の刃を最後に並べて撮った記念?写真・・・・・・僕も自分の制作過程を何も隠さず見せる質だけれどこんなにオープンで見せてくれる作家に会って、きっと今日の会を一番贅沢に楽しんだのは主賓の子どもたちではなく僕だったのではないだろうか・笑
 「ひらきよみ」と「おはなし」が終わってから絵本や色紙のへのサインを寒いお堂で手をかじかませながら黙々と描き続ける姿勢にプロフェッショナルな精神を感じた。ちなみに2時間、黙々と1枚1枚小さな絵を添えてていねいに描いていた。僕も「十二支のお節料理」と「鳥の島」を買ってサインしてもらう。思えば作家本人に自著にサインしてもらうのは景山 民夫 以来だ。
 主催されたお友達この方も童話を書かれていて数々の入賞歴有)の「同じ、土台を持つたまきさんは、話題が共通するのでは?」とのはからいで講演終了後の懇談会に混ぜてもらう。まずはチラシを作った際レイアウトの都合で絵の一部を切り取った非礼を詫びて。作品が面白いだけでなく話の面白いこと、面白いこと。次回作の構想を聞かせてもらっただけでまだ出来ていない本を想像して大笑い。早く出来上がったものがみてみたい。それにしても都会だとホールかなんかで聞いておしまいだろうに作家本人と膝交えて話ができる、こんなところも田舎暮らしの良いところかもしれない。
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 それにしてもアマゾンに「鳥の島」の在庫が無いのはなんと寂しいことか。第5回絵本にっぽん賞を受賞されたこの絵本、実は絵本ではなく正確には紙粘土絵本です。膨大な時間を費やしたであろう紙粘土に着彩して描かれたこの絵の力。そして版画による文字の力。本屋さんでもし見かけたら一読をオススメします。このほろりとくる絵本は「100万回生きたねこ」と共に宝物になりそうです。