さよなら、筒井康隆全集

 片流れの屋根の雨が垂れる側の2階にある寝室だけはどれだけ掃除をしても放射線値が下がらない。雨が屋根の上に積もった放射性物質を洗い流し集めている。
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 我が家は雨樋をあえて付けず屋根から雨が落ちる部分を掘りU字溝に暗渠を入れ粗い採石で埋めることで大量の雨が降っても水が下水に流れるように作ったからたぶんU字溝が汚染されている。屋根の下は我が家のホットスポット(放射線値の高いエリア)のひとつ。寝室はそのすぐ上にある。構造的に除線は難しいのでホットスポットから遠い、納戸にしていた部屋を寝室にするため大掃除することに。ソファや絨毯などの燃える粗大ゴミを捨てに行く。
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 我が家を作るときに何度も通った焼却場。ほとんど「プロ」しか来ないエリア。ソファはバネがあったらひきとってもらえないと書いてあったがソファの下に貼ってあった材料一覧を見るとウレタンと合成皮としか書いていなかったので持っていったが、担当の片がソファの底をカッターナイフで一線切るとバネが。あーあ、受け取ってもらえないと思ったら、良く切れる金属用の大型ハサミを貸してくれて
「スプリング部分をこれで全部切り取りな、そしたら受け取るから」と。
ここは我が家の制作で何度も来たけどこーゆー杓子定規で行かない時にいつもこちら側に立ってなんとか出来る方法を探してくれた。以前と担当の方は変わっていたけど優しい精神は受け注がれていた。ぶっきらぼうな対応なのに実は細やかな心配りをありがとうございます。僕のゴミで汚してしまったところを係の方がほうきで掃除しようとしたので思わずほうきを借りて掃除する。
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 自分用メモ:ソファを捨てる際は底の薄い布をカッターで切り裂いてスプリングや金具を確認して大型金ハサミでカットすること。
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 愛犬小春との昼の散歩。美しい田んぼ、美しい空。だけど、放射線に色をつけて。わかんないよ。
 雲を田んぼの水に映して見るのがこの季節の楽しみなんだけど、意外と早く稲が育つのでこの楽しみを味わえる期間は以外と短いと書いたけど、ほらもうこの通り。
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 雲を映せるのは田んぼの端っこの方とか、
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 減反の関係で稲のないところ。
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 粗大ゴミを捨てて勢いがついたので本も大量にBOOKOFFに持っていく。本を開いて中を見てしまったら持って行けなくなるから目をつむって筒井康隆全集全24巻を始め、えいやっとどんどんコンテナに入れて2つ分持っていく。アウトドアやウェブ関係の雑誌は値がつかないと思ったけど新しいものはちゃんと値がついた。「ソフィーの世界」とか値がつかなかった単行本も。支店によって対応は違うけどこのBOOKOFFは値がつかなかったものもひきとってくれる。大事にしていた筒井康隆全集は1冊1500円が100円でした。お金じゃないんだ、またひとつ身軽になれたことを喜べと必死に自分に言い聞かせる。
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 きっとみんなそうだと思うけどモノを作る人はモノに執着する。机の横の飾り棚にも個人的な物語のある小物がたくさん。まだまだ全てを捨てて身軽になる道は遠い。