紅白梅図屏風

 印象派ばかりをもてはやす風潮にのせられていたのか親の影響なのかはわからないけど小学生の頃、親の本棚から引っ張り出す大判の美術全集は印象派の時代のものが多かった。
 日本画の画集はなんか嫌いだった。(今は好き)その中で尾形光琳の「紅白梅図屏風」だけは屏風の枠と作品自体の金色の枠で2重の枠に囲まれたふたつの正方形が横に並んでグリッドの効果が出ているだけでなく中央に流れる川の圧倒的な存在感に惹かれたのだろう、大好きだった。今から思うと「モダン」を感じたのだと思う。中央の一番の主題の(はずの)川がグリッド(によるストライプ)で縦に切られている事自体がものすごく”現代的”で”デザイン”的だ。Webサービスで白いストライプで区切られたグリッドを見る機会は少なくない今、江戸時代の人が感じた衝撃を同じように体感するのは難しいとしても、主題を縦に切ることが逆に効果になるという事の凄さは二双の隙間をなくしてみればわかるだろう、この「隙間」こそこの作品の緊張感の大事な要素だという事が。
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 話をシンプルにすると、とにかく子供の頃から、紅白梅図屏風が好きだった、と言う事。日本画とかジャンルに関係無く。そしてその作品が自宅から車で40分のところに展示されている。(3/6〜25)見に来るでしょ。仙台市博物館
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 朝一番、9時に来て見た。近くでじっくり見たし離れて全体象も見る事ができた。30分くらい見ていたかも。堪能した。
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 背景は金箔、中央の川には当初は銀箔を貼って硫化させて流れを黒くしたらしい。日本画家による再現も展示されていた。これが良い。江戸時代に作られたこの作品の現代的でデザイン的だったところが強調されている。
 東日本大震災の津波の被害にあった歴史的に貴重なものを多くの団体が救い出す活動をした事を紹介する展示が興味深かった。津波に浸かった作品を洗い塩を抜き汚れを取り復旧する作業の過程を、実際に浸かった道具と共に説明・展示されていた。
 常設展には、引き出しを開けると浮世絵が見られる展示もあって、保存状態のいい色彩豊かな国芳などの浮世絵も楽しんだ。
 朝一番で行ったのだけど帰る時には、駐車場に車が入れないほどの人気だった。