東北障がい者芸術公募展

東北障がい者芸術公募展を見にせんだいメディアテークへ。

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障害をもった方の描かれた、作られた、書かれた作品展。障害を持つアーティストによるアートはアール・ブリュットとかアウトサイダーアートとも呼ばれることがあるけれど、制作の動機が作品を売るためどころか、人に見せることを前提としていないことも多い。死の直前、膨大な作品が発見され有名になったヘンリー・ダーガーのように。
創造と人間の関係の不思議を思わずにいられない。
説明できない。でも、や む に や ま れ ず や る
それが本来のアートの出発点ではないかと感じる。

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強い自閉の方が症状の重い時に書かれたという、この文字の作品は僕の心にすごく届いた。これを書いている時、作者は辛くて辛くて仕方ない時だったと聞いた。

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常軌を逸するほどの執拗さや繰り返しのエネルギーの向こうに「障がい者」なんてくくりが必要無い作品に昇華しているものがいくつもあった。

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ガムの包み紙の裏に書かれた細密な文字と絵は、老眼の始まっている僕には細部にピントを合わせられないほど。それにしても美しい線と色で作られた作品のひとつひとつの密度が高く、しかもものすごい数が並んでいて、それが一度に並べられることで圧倒的なエネルギーを発している。踏ん張らないと受け止めきれないほどだ。お母さんですら、つい最近まで息子がこんなに作品を生み出している殿を知らなかったという話を聞いた。展覧会の審査員をされていてワークショップもやられたアートディレクターの中津川浩章氏のfacebookに写真がアップされていたので転載して紹介させていただきます。(転載の許可をいただきました。ありがとうございます)

今回すごい作家発見!大竹徹祐さん。宮城県の方、ガムの包み紙の裏に描かれた細密な絵画。さらに美しい線描。ため息が出ました。まだほとんど発表したことがないそうです。いやぁ、ねむっている作家さんってまだまだいるもんですね。この作品のためだけでも見る価値ありますよ〜〜!

Posted by 中津川 浩章 on 2015年6月27日

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大きな木彫の作品も。ものすごく刺激的な作品展だった。素敵な作品にたくさん出会った。すごく良かった。

直接関係ないけど、障がい者とあえて「がい」をひらがなで書くことが推奨されているのが嫌だ。過度な言葉狩りのようにも思えてしまうし、はいはい「害」の字は「がい」にしておきました、で終わると問題自体を考えなくなるような気もする。だけど障害を持つ方の中にひとりでも「害」という文字が入っているのは不快だ、と言われたら反論するのは難しい。

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僕の大事にしている本の1冊。ねむの木学園のとしみつくんが園長の宮城まり子さんと交わした絵と手紙をまとめた本。その中の「雪の降る夜」という絵を始めてみた時の気持ちは今も忘れられない。ここにも現れる執拗な繰り返しはその数がシンシンと積もる雪の景色の中で美しい。

振り返ると、僕はいつも何かを作っていた。何かを描いていた。見てくれる人がいようといなかろうと。宮城へ越してきて石を彫るようになったけど人に見ていただくようになったのは最近のことだ。ただ作っていた。振り返ると自閉的だったけど、それが心地よかった。だいたい僕は自分が正常なんて思ってない。その境目なんて揺らぐ。

おすすめです。仙台メディアテークで明日までです。無料。
第1回 Art toYou! 東北障がい者芸術公募展