「石の塊」展 2日目

今回の個展には、伊達冠石の花器と、御影石の彫刻を展示しています。
今日は今回、展示している彫刻について少し裏話的な話を。

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見た人の思いと、作った人の思いは全く同列。作者が語ることが正解では無いし、作者が語ってしまうとそのイメージに限定されやすいので、語らない方が良いかもしれないけど
「俺は作品に語らせているから、一切何も話さない」
というタイプではないし、何より、僕自身が作品を見る時に、「作品」だけで見る訳じゃなくて、気に入った作品は、それが出来た背景や、どんな人が作ったのかとか、いろいろ知りたくなる。この文章を読んでくれているあなたは、きっともう少し興味を持ってくれたんだと思うので、この作品について少し書いてみます。
これは僕にとっては「命」を集めた形です。いろんな命のイメージを重ねてみようと思った。例えば「卵」「種」「血」「血管」「芽」などなど。そして表面全体を覆う唐草模様のようなモチーフは、葛(クズ)の蔓(ツル)からきています。(東京ぼん太からではありません)
これからの季節、自然の豊かな僕の仕事場は草との戦いです。作品展などで数日、仕事場にいけないと、びっくりするくらい、長い長い葛の蔓であちこちが覆われ、網の目のようになってしまうことすらあります。ちょっと辟易していたんだけど、その生命力をすごいな、とも感じるようになった。その気持ちの変化が、きっと、この作品を作らせた。皮肉屋で世の中をシニカルに見るクセのある僕も、2011年3月11日の後、少し変わったんだと思う。
とはいえ僕はこの夏も、葛の蔓に少し愛おしさも感じながらも、仕事場が葛に飲み込まれないように、バッタバッタと切り倒していきますけどね。

今日は 個展 2日目です。足を運んでいただけると幸いです。

明日は広島へ飛びます。もし聞きたいことがありましたら、何でもお話しさせていただくつもりです。

山中 環 個展 『石の塊』
https://www.facebook.com/events/949207998457233/