先日の東京での個展の折に、クラフトや彫刻のご依頼をいただいた。 (ありがとうございます)
彫刻はプレゼンの案を出してやり取りしている間に用途や形の明確なクラフト作品を作り始める。
こんなものを伊達冠石で作りました。伊達冠石の特徴の泥のような部分を半分、そこを削って磨いて黒く光らせる。
帯留め、というモノがあるのを初めて知りました。日常的に和服を着る友だちの依頼で作ったテストピース。(本番は別のものになるけど、これはこれで金具を取り付けて、きっとそのうちネットショップで帯留めとして販売します・笑)
こんなモノも。キュービックな形の石に穴が開いてるもの。何でしょう?
PCでデザインやDTPの仕事をしている人には説明するまでもないのだけど、ペンタブレットという(日本が世界に誇るべき)ツールがあって、紙に鉛筆で何かを書くように、PCに接続された板に専用のペンで書くとそのままデジタルデータとして取り込める、という道具。鉛筆のおしりに消しゴムがついていて、書いていて間違ったらひっくり返して消す、みたいな事も鉛筆と同じように当たり前にできるし、筆圧感知と言って書くときの筆圧も再生されるので絵を描くソフトだったら強く塗ったら濃く、そっと塗ったら薄く、まるで紙にパステルや鉛筆で描いているように描ける。ダブルクリックや右クリックもできるのでマウスのようなポインティングデバイスとしても使える。僕も20年位使ってます(写真は僕が20年使ってるもの。一番安いやつだけど・笑)
で、そのペン立てを石で作れないか?と依頼していただいた。専用のペン立ても付属でついてくるけど軽くてすぐ倒れるからと。僕もそう思っていた。だからペン皿に並べて使っていた。
例によって選ぶ喜びがあったほうが良いと思って伊達冠石と
何かに使えないかと、ずっと大事にとっておいた赤い砂岩で作ってみた。
ペンの円錐形の形をホールドするための穴加工にピッタリの寸法の道具はないので直径の違う石用のドリルを深さを変えて何回も穴を開け直して、バベルの塔の逆向きのような穴を加工する。
ホールド感もぴっちり動かないくらいがいい場合も、少し揺れるくらいが好みの人もいる。ペン先が直接、石に当たってしまうといけないのでその部分の穴を深くしたりと、穴加工だけでも何気に神経を使う。
で、最初は赤の砂岩をイチオシだったのだけど、依頼してくれた方の机周りの写真を見たらモノトーンで構成されていて、「赤」は無いなと思ったのと、伊達冠石の磨きを進めていったら宝石のような模様が浮かび上がってきた。これまでに何年も、いくつも、伊達冠石の作品を磨いてきて、時々はっとするような模様に出会うこともあったけど、こんなに小さな面積のところにこれだけ表情豊かに浮かび上がる模様。僕には宝石のように思える。
で、赤い砂岩で作ったタブレットのペン立ては僕が使うことにします。(欲しい方がいましたら応相談・笑)
小さいからって10段階くらいある磨きの工程を省略できるわけではなく、大きいものと全く同じように磨いていく訳です。今回の作品のように4面磨くなら同じその工程を4回繰り返します。それと面と面の間の辺(稜線)も磨くので上の面の周りの4辺、下の面の4辺、縦の4辺も10段階磨きます。手間は全く変わらないけど、というか固定するのが難しくなってくるので小さいものは手間は倍増。だけど小さいからお金はとりにくい。
だけど、手仕事を大切に思ってくれる方、それなりの対価を払っていただける方には、誠心誠意作らせていただきます。特に作ったことのない初めてのものは喜んで作ります。初めてって本当に楽しいし得ることも多い。伊達冠石の一輪挿しも面白いアイデアや提案をいただいて、本当に面白くて作らないではいられなくなって本当に「製品化した時」は、必ず言い出しっぺの方にアイデア使用料としてその作品をプレゼントしてきました。(こんな石の一輪挿しあったらいいな、というアイデア待ってますよ!)
・・・・・彫刻や伊達冠石の花器をご依頼いただいた方の作品も制作準備中です!と言い訳のように書いておく・・・
(photo:西原)
これからの3枚の写真は、依頼者のところに届いて実際に机にセッティングしたところの写真です。依頼者は僕が新宿の公立中学校の美術教師だった時の教え子でもあります。
(photo:西原)
facebookをやっている方はこちらに、この伊達冠石のペン立てを嬉しくて泣けるようなエントリーしてくれてますので是非。
(photo:西原)
良い感じで収まってる!赤の砂岩より、伊達冠石の黒が良い!
僕が個展の葉書やチラシを作れるのも西原くんがIllustratorで作ってくれた詳細なマニュアル!を見て何度もやってきたから。一眼レフを買うときにも相談したし、教師と生徒として出会ったけど、いろんな分野で師匠格。音楽もいろいろ教えてもらった。今回もずっと欲しくて、でも手に入れられなかった一曲の入ったCDくれた。
オーダーさせていただいていた伊達冠石(だてかんむりいし)のペン立て、届きましたっ!見栄え、実用性ともにパーフェクト!!宮城の山地から掘り出され、山中環氏@tamaki によって磨き上げられた小宇宙に感動です。 pic.twitter.com/1xTh10xy4S
— タニシ (@tanishi_fpaper) 2016年6月29日
Tamaki Yamanakaさん(@yamanakatamaki)が投稿した写真 –
— エリック ・C (@x__ok) 2016年6月25日
さっそく届いてからすぐ使わせていただいていますが、実に具合が良いです。
自由にスタンドの位置を変えられて、かつペンを出し入れするときには動かない。こういうスタンドが本当に欲しかったんです。
しかもこんなに素晴らしい「宝石」となって完璧に実現するとは!
お送りした代金でも感謝が足りないくらいです。
そして、最初は「ずっと大事にとっておいた」赤い砂岩でせっかく作っていただいたのに、2度も作らせてしまい、申し訳なかったです。
> 小さいものは手間は倍増。だけど小さいからお金はとりにくい。
なるほど。僕は届いた高揚感でついFacebookに「これ、売れますよ!」なんて書いてしまいましたが。作って売れば売るほど赤字になるものでしょうね。
つくづく、自分は幸運な男です!
これからほぼ毎日、この伊達冠石のペン立てに触るたびに先生や奥様や角田で生活をさせていただいた日々を思い出しながら仕事に趣味にと活用させていただきます。
ありがとうございました!
今日、入金を確認しました。
請求金額の3倍を振り込むなんて!!
作るほど赤字になるのは僕の価格設定がいつも間違っているからです。
石にも敬意を払ってもう少し上げないといけないといつも思ってるのですが。
だけど今回の「手間」は幸せな手間でしたよ。ほんと。
説明のために書いたけど手間をかけて完成するのも嬉しいし、喜んでもらえたらもっと嬉しい。
今回、作らせてもらったモノが、これからいつも、にしはらくんと共にある、というのも幸せなことです。
ありがとう、ありがとう。
3倍とか、すごいお金持ちっぽいわぁ・・・(笑)。
冗談はさておき、本当にそれでもお安いと感じてるくらいですのでお気になさらずに。
思い切ってお願いして、良かったです。
何か他にも良さそうなものを思いついたらご連絡します!
ありがとう。
何か思いついたら提案を!
採用したらそのモノをプレゼントします・笑
楽しみだなぁ。