おじさんの山小屋

 早朝、宮城の自宅を車で出発し、高崎市にあるカミさんのおじさんの山荘へ向かう。
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 おじさんに最後に会ったのおばあちゃんの葬式の時。もう12年も前だ。その頃、山小屋を買ったと言う話は聞いていた。だけど買ったのは山小屋では無く「山」だった。
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 そこに道を造る事から始め特注のログハウスを建て、庭と呼ぶにはあまりに広いエリアを自分のイメージのように作りかえ、今もまだ整備している。
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 周囲を散策している間に昼食を作って作ってくれた。ベラルーシ風のピクルスの入ったスープやからすみを乗せて食べるウニのパスタとトマトソースのパスタ、モロヘイヤと水ナスのサラダ。スープとパスタの美味しさに驚いた。スープはピクルスのみじん切りと漬け汁、トマトソースはケーパが隠し味になっているのだと教えてくれた。そしてウニのパスタは寿司屋さんに特上のものを仕入れてもらったのだという。ゲストにシェフと呼ばれているのも納得。参りました。
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 食後に3人と愛犬小春の一匹で散策。
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 水場の水受けは手で洗濯をしていた頃のスペインの洗濯石を運んで設置したもの。洗濯女の怨念がこもってるかも、と言って笑う。もちろんダイヤモンドカッターなんてものが出来る前に彫られたものだ。
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 砕石にして使われるという地元の石を砕石にする前にトラックで買って自分で組んで庭を形作っていた。すごく良い風情、すごく良いセンス。植林されていた杉は残すとこは残し伐採して切った後には自分のイメージで白樺林のエリアを作ったり桜を植えたりして12年かけて整備している。何気なく雑木林に見える景色のほとんどはおじさんのイメージで伐採され植林され石を組、焼き物を配置したりして作られたモノだと言うから驚き。本職の設計屋さんや造園家を差し置いて最近仕事を依頼される事が多いというのも納得。私財を投じて12年間かけて実践と研究をしているのだ。しかもその変遷をゆっくり眺め、結果を自分の目で確認している。頭でっかちの造園家が適うはずがない。
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 鉄の門扉も鳥が空に羽ばたいていく姿を自分でデザインしたもの。
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 いろんな素焼きの鉢が庭のポイントになっていて目に楽しい。
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 スペインの素焼きの大壷とスペインの石。庭がこんな壺や石で飾られている。
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 景色の良いところや一休みするのにちょうど良いところには東屋やテーブルと椅子が何カ所にも置かれていた。土地を下ったせせらぎへの道も石と木で整備し流れにはダムを築いて淀みを作りオニヤンマを初めとしたトンボなどの楽園を作っていた。
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 ふたり用の大きなハンモックを張ってくれた。夏の暑い日には幅広の布を蚊除けに閉じてしまって昼寝するのが気持ちいいのだそうだ。
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 おじさんは伊達冠石が大好きで束石などにも使っているのだそうだ。伊達冠石の砕石場は僕の仕事場から車で20分なのも伊達冠石のサイトを作らせていただいたのも全くの偶然。特注していただいた伊達冠石を使った花器を納品して彫刻の打ち合わせもしていただく。
 ちなみに愛犬小春は許された玄関前のデッキまで。ちゃんとそこで待っていてほめられた。もう12歳だからそろそろ死んでしまうことも覚悟し始めている、という話をすると山の中を駆け回っている様子を見たし、長寿の可能性のある雑種の中型犬だから年と共にもう少し体重を落としてあばらが見えるくらいに痩せさせれば18歳までは生きると言ってくれた。嬉しい。だっておじさんの本職は獣医さんだから。
 夕方、カミさんのおばさんの家へ。新築だというのに愛犬小春も家に上げていただいて泊めていただく。恐縮。猛暑を覚悟していたのに珪藻土の壁も一役買っているのか奇跡的に涼しい夜。