松本竣介展

 参加している作品展の会場入り前に「生誕100年 松本竣介展」を見に宮城県美術館へ。
120806
 とても好きな画家のひとりなので、始まるのを楽しみに待っていた。
 「画家の像」という大作は宮城県美術館が所蔵しているので企画展で宮城県美術館に行くたびに時間が無くてもこの1枚だけはよく(企画展のチケットで入れる)常設展で見てから帰るのが常。
 生誕100年を記念してのものだからか、内容がとても充実した素晴らしい展覧会。ここ数年で見た展覧会の中でもこの充実度はすごい。それにしてもこれだけ多種多様な表現に取り組んでいた事に改めて驚かされた。しかも全く異なる表現なのに「松本竣介」でくくると違和感が無いのがすごい。モンタージュの作品群、好きだなぁ。
 今回初めて見た作品で戦争の空襲により焼け跡になった風景を敗戦後に描いた作品が3点、展示されていて心に残った。(得に神田付近、という作品)またそれらに竣介が残している言葉が心に残った。

猛火に一掃された跡のカーツとした真赤な鉄屑と瓦礫の街。それらを美しいと言ふのには、その下で失はれた諸々の、美しい命、愛すべき命に祈ることなしには口にすべきではないだらう。だが、東京や橫浜の、一切の夾雑物を焼き払つてしまつた直後の街は、極限的な美しさであつた。

120806
 図録は2300円なのだけど、充実した企画を余すことなく網羅して、子どもが描いた絵を元にした作品と元にした(竣介が大切に保管していた)子どもの絵や、新宿駅などを映した写真、スケッチ、手紙、刊行した雑誌などなど、松本竣介好きには高いと感じられない充実度。この厚さを見て。もはや竣介の百科事典のようだ。
120806
 良い展覧会だった。作品の入れ替え展示をするという、もう1回後半に行こうか。