置かれた場所で咲きなさい

14080801

置かれた場所で咲きなさい(渡辺 和子 著)を読んだ。カミさんが図書館から借りて読んでいて、すごくいいよ、というので。自分の本なら赤鉛筆でいろいろ書き込みながら読むんだけど最近は図書館で借りることが多いので、気になるところには Post-it を貼りながら読むことになる。そしてこうなる。この本は薄い本なのに Post-it だらけになりました。

短い言葉がいくつか提示されていく。著者の経験を踏まえてその言葉の説明や背景が語られる。

本のタイトルにもなった「置かれた場所で咲きなさい」についての文章は一番最初に書かれている。

置かれた場に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったり不幸せになったりしては、私は環境の奴隷でしかない。人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせようと、決心することが出来ました。それは「私が変わる」ことによってのみ可能でした。

そして、こう結ばれる。

どんなところに置かれても
花を咲かせる心を
持ち続けよう。

境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。

共感して、他にどんな言葉が語られるのか、ページを繰っている間にあっという間に読み終えてしまった。

気になった言葉を少しリストアップ。これだけでもウンウンと思うけど、その言葉が選ばれた背景を読むと味わい深い。(それは是非、本書で)

  • 現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。
  • 「私のほほえみは、”神さまのポケット”に入ったのだ」と考える。
    (これいい話なんだよなぁ。実践する。)
  • 価値観は言葉以上に、実行している人の姿によって伝えられる。
  • 子どもは親や教師の「いう通り」にならないが、「する通り」になる。
  • 何もできなくていい。ただ笑顔でいよう。
  • ”あなたが大切だ”と誰かにいってもらえるだけで、生きてゆける。
  • 希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること。
  • 一生の終わりに残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものだ。
  • 神は決して、あなたの力に余る試練を与えない
  • 迷うことができるのも、一つの恵み。
  • あいさつは「あなたは大切な人」と伝える最良の手段。
  • 信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。

キリスト教の学校の理事長である著者が、信頼は98%と言っているところが面白い。実際、授業で話すと学生は「シスターのことだから、120%相手を信頼しなさいというと思っていた」と言われるそうです。この98%というところがすごくよくわかる。

僕も「信じてたのに」とか「一生懸命やったのに」とか「あなたのためと思ったのに」という心の持ち方には、すでに見返りを期待する気持ちが含まれてしまうから、そういう考え方をしないように気をつけてきた。

次の言葉だけは他と少し違う意味合いを持っている。

  • 父と過ごした九年、その短い間に一生涯分の愛情を受けた

これは、独白。著者の渡辺 和子さんのお父さんは、外国駐在武官として度々外国で生活し「戦争だけはしてはいけない」という考えを持っていた人だったそうです。戦争にひた走ろうとする軍部にとって邪魔であったのだろう、二・二六事件で著者の目の前1mのところで殺されたのでした。でも死の間際、銃弾の飛び交う中、9歳の著者を座卓の影に隠したことで彼女は生き延びました。

だから東日本大震災で亡くなってしまった人や、生き延びたけど苦しんでいる人への眼差しが優しい。直接的に書かれている事は少なくてもそれはとても伝わりました。