彫刻:ふれる

僕が作らせていただいた野外彫刻のひとつが地元に建っている。「山河」

14091114photo by 西原 直紀(C)

数年をかけて完成した大きな水門の竣工を記念するモニュメント。自由に創って構わないけど「水」をテーマにすることだけはお願いされた。
山から水がしみだしてやがて大河となる様を表現した。全体の形は米どころでもある米の印象も持たせたいと思った。作品の向こうに流れる阿武隈川の大きな流れと作品の上流と下流も合わせてあります。何もない「川」な隙間から世界を見て楽しんでくれる人がいたらいいなと思っている。

14091115photo by 西原 直紀(C)

数年前から、危機感を共有して共に活動している同志であり人生の大先輩であるS先生から、先月こんなハガキをいただいた。

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笑って、泣いた。なんて幸せなハガキ。夏に帰省した折に両親に見せたら笑いながら感激していたよ。
(先日の会合で、インターネットをやらないS先生に、この葉書のブログへの掲載許可をいただいたので今宵、エントリーしています)

モノを作っていて一番辛いのは無かったことになること。「好き」は嬉しい。「嫌い」だってその人の意識に届いた結果だから残念だけどしかたないと思う。だけど無視やそんなのあったっけというのはこたえる。こんな幸せなハガキをいただくことがあるなんて思っても見なかった。

80歳を超えてなお、マラソンをしている人生の大先輩の「治療器」になっていたなんて、どんだけ幸せなことか。普段は自分の思いのままをわがままに作品にする。だけど野外彫刻は近隣に住んでいる方に愛されて欲しいと思っている。御免なさいどころかありがとう、です。この土手は犬を散歩させている人が多くて、犬にとっては良いきっかけらしくて、ここで止まってこの作品におしっこをかけるらしい。見たことはないけど。でも、それもとても嬉しい。僕の作品は犬たちには認められている(笑)。

これ以降の写真は”Waterlogue“で変換しています。

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今までにいろんな人がわざわざ遠くからも見に来てくれている。作ってすぐの昔、もう20年近く前に妹家族も。上の姪っ子は直接作品に座ってくれたよ。ふれるってすごいことだ。実際に同じ時間に同じ空間に存在しなければふれることは出来ない。当たり前だけど。

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なんと僕の妹は負けずに下の姪っ子をおぶったまま、作品に乗った。ただ笑ったけど本当はすごく嬉しかった。過剰に作品にふれてくれて嬉しかった。
彫刻を作っている人はみんなそうだと思うけど手で触りながら撫でながら作品を創っている。見た目より触った感触を大事にしているくらい。触覚はすごい。目と同じかそれ以上。さわってもいい展示だったら彫刻は撫でながら見たほうがいいです。

14091112photo by 西原 直紀(C)

僕がこの作品の宣伝や営業に使っている写真を撮ってくれたのは僕が昔々、新宿で美術教師をしていた時の教え子。嫉妬するほどの才能の持ち主だった。僕が教師をやめて宮城で石彫りを始めた頃、東京から居候に来てくれた。それ以来、音楽や美術や写真やDTPや、いろんなことを教えてもらっている。大学教授でもあったお父さんにカミさんは歌を習わせていただいている。

14091113photo by 西原 直紀(C)

作品に体を預けて、太陽の熱に温まった彫刻の石の温度を体感している教え子たち。それを見る以上に幸せな風景があるだろうか。

ふれるってすごいことだ。初めて彼女の手に触れて、手をつないだ時の嬉しさは忘れることは出来ない、よね・笑

touch/tʌtʃ/ (! -ou-は/ʌ/)
〖語源は「 (軽く)打つ」〗
動詞~es/-ɪz/; ~ed/-t/; ~ing(→分詞touched, touching)
[他動詞]
【触れる】

▸ touch one’s finger to one’s lips
指を自分の唇に当てる
▸ I never touch a drop.
酒は一滴も飲みません
▸ Guns should be outlawed, but politicians would not touch it.
銃は違法にするべきだが, 政治家たちはだれもそれを取り上げようとしない
[自動詞]
〈人物が〉さわる, 触れる; 接触する, 触れ合う
▸ The cloth is warm [cool] to the touch.
その布は肌ざわりが暖かい[冷たい]
▸ I felt her touch.
私は彼女にさわられるのを感じた
~́ tỳping
ブラインドタッチ (!手元を見ないでキーボードを打つこと; ╳blind touchとしない) .