白イチ:2015

2時30分で仕事を上がって、この日を指折り数えて楽しみにしていた白イチへ。
去年、そのお知らせの動画を見てクオリティの高さとセンスがただ事じゃない、と思って情報が無かったんだけど行ってみた。隣町で年に一度開かれるイベント。

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居心地のいい空間とモノと人が集まる市。DMがすでにかっこいい。

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気持ちのいい空間を作るために使っているのは(お金がかかっているのはもちろんだけど)金ではなくてセンスっていうところが素敵。センスがなければただのガラクタに見えるものに別の価値を与えて見えなかった価値を引き出してる。すごいな。この古い木箱のベンチの空間のオシャレなこと。なんかずるい・笑

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看板代わりに使われている丸く錆びたこの金属の円盤を見て、去年僕は参りました。実は僕ら石彫りにとってこれはおなじみのものだ。大きな石をスライスしていく大型機械の刃。(写真は昨年のもの)どこの石屋でもダイヤモンドの刃が全部なくなった後は、工場の片隅に邪魔そうに置かれているものだ。その錆でザラザラになった表面にチョークで字を書いて、唯一ここにしか無い素敵な看板になってる。センスとしか言い様がない。

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今年で3回目のこのイベント。人気で仙台やもっと遠くからもお客様が来ているみたいで、古い陶器とか木のテーブルとか、いいモノを買おうと思うなら初日の午前中に来なければいけないことはわかっていたのだけど、初日は彫刻展に在廊するのを先に決めてしまっていて行かれなかった。今日も午前中、仕事をしたので終わり頃にやっと来られた。

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七ヶ宿の白炭を焼いている光夫さんの炭をパウダーにしてクッキーを作っている円さんも、今年から「すみやのくらし」として出店されるので、応援とお喋りをしに会いに行く。最後、終わる頃だったので折れて売れないクッキーをいただいた。まぶされた色が綺麗で雑木林を眺めているみたい。ありがとう、円さん。

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それにしても暑い、暑い日。日陰に置いた椅子に座って話をしていてもどんどん日が追いかけてきて、さらに日陰へ日陰へと逃げながらのお喋り。白イチに出店されている、stockさんのコーヒーを円さんのお友だちにごちそうしていただいた。コーヒー苦手な僕だけどブラックでいただいて美味しかった!ごちそうさまでした。

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円さんが「見て見て!これ買ったの。何だと思う?」と新聞紙の包を開けて見せてくれた。
強い陽射しでガラスの中が見えにくいけど、内部の下の輪のようになったところにジュースとか入れておくと下の穴から匂いで誘われたハエが入って出られなくなるというハエ取り機なんだそう!初めて見たけどこれを見たお婆さんが昔これを使っていたことがある、と言っていたそうだ。あんまり綺麗なのでランプシェードなんかとして使う人もいるらしいけど円さんはマジでこれをハエ取り機としてガンガン使ってみる、そうだ。目出度くガンガン撮れたら写真をSNSにアップするそうです。困るね・笑

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僕は今年も蜂が分泌したワックスやオレンジのワックスなど天然由来のものだけで作られた木工家具用のワックスを買い足した。去年、白イチで見つけて買う時に、サンダーでニスを落とすのが大変という話をしたら、白イチ主催のケイタさんに塗料剥がしを教えていただいて我が家の居間の食卓は見事に生まれ変わったのでした

今年は円さんに紹介してもらって、ワタナベケイタさんともおしゃべりすることが出来たけど、生まれた街を愛する気持ちや、古いものだってそこにある価値をわかりやすい形に変えて伝えたいという思いにとても共感した。何より、個人でやられているこのイベントには何か太い価値観が一本通っていてその空間にいるのが心地良い。参加されている方やお店の佇まいも素敵。また来年の白イチまでの日を指折りはじめましたよ。

今年のお知らせ動画も素敵でした。聞くとやっぱりプロの手になるものなのでした。

白イチからの帰り道。山越えの国道に次から次へと飛んでいるのを見て、もしかしたらタイミングが合うかもと思って、山を少し登った水場の、密かにオニヤンマの聖地と呼んでいる所に来てみた。以前に一度だけ信じられない数のオニヤンマが乱舞しているところに遭遇したことがある。もう一度見たくて、夏になるとたまに行ってみるのだけど乱舞するところは見られなかった、時間とか天気とかいろいろ条件が重なった時にだけ見られるのだろう。そして今日。iPhoneで撮った動画では遠くのオニヤンマがうまく写って無かったけど、たくさんのオニヤンマが乱舞していた。しばらくそれをひとりで眺めていた。多分、江戸時代の人が眺めていたのと、そう変わらない景色。