石川直樹 この星の光の地図を写す 展

水戸芸術館へ。来たのは初めて。

個性的な建築。御影石がたくさん使われている。

水の上に大きな岩が浮いている。たぶん石を使って彫刻をしている者なら、一度は大きな石を浮かべられないかと考えたことがあるはず。僕もいろいろ考えた・笑

桜色の御影石のベンチをかねた結界。磨きと割れ肌を美味く使っている。

水戸芸術館の現代美術ギャラリーに石川直樹の写真の初の大規模個展「この星の光の地図を写す」を見にきた

何冊もの本も出版されている氏の言葉も所々に「展示」されていて写真の世界を補完したり説明したりしている。

メディアを通して聞こえてくる声は、他の多くの声のほんの一部でしかない。土の上からかすかに聞こえる隣人の息吹をどれだけ感じられるか。いまここを意識しつつ、ここではない場所や自分と異なる人々について、少しのあいだ思いを巡らせてみることはそんなに難しいことではない。もしかしたら、本当の辺境は自分の内にあるのかもしれない、とも思う。

北極点から南極点までを人力で踏破するなど地球を縦横無尽に移動し、エベレストをはじめとする幾つもの高山のピークに立った石川直樹の写真は、奇をてらう様な特別な事は何もせず瞬(まばた)きをする様にシャッターを押している様に感じた。

だけど、きっとそれで充分なのだ。彼が立っている場所が、すでに「特別」な場所なのだから。

フィールドワークで実際に使っている道具の展示も。キャンプをやっている者にとっては別の意味でも興奮する。奥の本棚には石川氏の読んでいる本が並んでいる。最近、こんな展示が少なくない。より「世界」を知ることが出来る工夫で楽しめる。おととしの夏に見た、石川直樹+奈良美智 展「ここより北へ」 でも旅の靴とか読んでいたほんとか身の回りのモノが展示されていた。

手書きのメモ

ぼくは街でも山でもフィルムカメラを使っています。今回展示している写真も全てフィルムによるもの。

展示室毎のわかりやすい説明の入ったパンフレットをもらえる。

裏は、陸地の面積比をほぼ正確に表記しつつ形の歪みも低減し、かつ海を分断することなく矩形の平面に収めたオーサグラフと呼ばれる世界地図に石川氏が訪れたことのある国などが示されている。

写真が好き、自然が好き、旅が好き、なら強くオススメ、この写真展。今月2月26日まで。
石川直樹「この星の光の地図を写す」