餅目

 木には木目がある。知らない人はいないだろう。木目は目に見えるし。木の道具や家を作る時に木目の向きは重要。用途によって木目を考えながら使う。強度が全く変わってくる。

 石にも石目というものがある。木目のように見えないし、知らない人も多いのかもしれない。石を割ったことがある人は体感としてわかるけど、石を割るなんてことを普通の人は一生経験しないだろう。石には、とても割れやすい方向があって、それと垂直な割れやすい面があって、その2つの面と更に垂直な少し割れやすい面の3方向の割れやすい面を持っている。これが石目。石目を把握していないと、思い通りに石を割るのはまず不可能だ。

 そして、餅にも餅目というのがあるのを知っているだろうか。知らないだろう、だって今、僕が命名した。ネットで検索したけど1件もヒットしない(このエントリーを書いたら唯一検索でヒットするようになるだろうか・笑)

【2013/03/05:追記】
GoogleでもYahoo!でも「餅目」で検索すると既に、このエントリーがヒットします。造語なので、この言葉を使っているのは僕だけだから当たり前ですが・笑

13030403

 餅をついたら台の上に広げて、生乾きの時に切って角餅にしていただく訳ですが、切った時の厚さになるように広げて切ったものと、少し厚めに伸ばしてそれを羊羹のように切り分けて、更に薄く切っていくのとでは食感が全然違うのだ。言葉だけだと分かりにくいので説明図を描いてみた。

13030401

 最初から切った時の厚さになるように伸ばした方法が左の図。重力で水平方向に層になるのを模式的に水色の線で描いてみた。右の餅とは90度「餅目」(そんな言葉はありません)の入り方が違うのがお分かりいただけただろうか。一度にたくさんのもちをついたりする場合、きっと右の方法で仕上げる事が多いのではないだろうか。だって左の方法で餅をのしていったら、いくら場所があっても足りない。

 さて、ここで問題です。どちらが美味しいでしょうか?
 まあ、美味しさは個人的な好みの問題なので正解は無いだろう。だけど、左の方法の餅の方が断然美味しい!とここに勝手に宣言します。歯応えが全然違う。餅を焼く時にも右の餅だとふくれた時にダルダルになりやすい。
 もしあなたが、僕と同じように「超」がつく食いしん坊ならば今度、餅つき機や杵と臼で餅をつく機会に、半分は説明図の左の方法で、もう半分は右の方法で食べ比べてみて欲しい。美味しさは個人の問題だとして、向きの違いだけでこんなにも食感に違いが出る事を実感してもらえるはず。

13030402

 夕食はカミさんのお父さんが餅つき機でついてくれた餅で雑煮でした。もちろん左の方法の餅。美味しかった。