実働10秒の報酬

友人の陶芸家が、放射能の市民測定所を始めるため準備を進めている。

作品展示室の一部を測定室にして、セッティング中。放射能測定器を台から降ろす手伝いを頼まれて、今日、朝一番で出かけた。

13031403 小さいけど、周囲の放射線の影響を受けると正しく測定できないので「遮蔽」するために、測定器の心臓部分を中心に鉛で覆われているため、数cmを上げ下げするのに大の大人3人が必要。

フタだけでも女性には持ち上げるのがやっとだろう。

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万が一に備えて、石の運搬用の数トンに耐えられるスリングも持って行ったけど使う必要もなく無事、3人で台から降ろした。

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その後、少しのつもりでおしゃべり。
放射能の問題で、顔は良く合わせるけど、あいさつしかしたことの無かった方も、移動に大人3人が必要で手伝いにきていたので、初めて話をすることが出来た。ある集まりで、ネットで公開を始めたNo Nukes Photo を、まだほとんど反響が無かった頃に「とても好きです」とわざわざ言いに来てくれたので、人を覚えられない僕でも良く覚えている・笑

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靴下がオシャレ!

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仕事がおしているので、手伝った後すぐ自分の仕事に行くつもりで、「10時にお願い」というのを無理言って9時スタートにしてもらったのは他ならぬ僕なんだけど、なかなかおしゃべりをやめて帰れない。

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チャオにもさわりまくれるし。

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ガイガーカウンターを借りに来たり、相談に乗ってもらったり、いままで宮城県南部で放射能を心配する人たちが、ここでどれだけ笑顔と安心と勇気をもらっているだろう。そして、それは僕も例外ではないのだ。
池田さんや奥さんと話したいことは他にもたくさんあって帰れない。

ちなみに「ゑみし窯」は「えみし窯」に変えたそうです。

結局、無理に9時スタートにさせて、お昼まで帰りませんでした(ごめんなさい)。

 

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いつ来ても、次の窯焚きのための薪が壁の様に積み上がっていたところから日が挿して明るい。窯にとっては悲しい光景だ。この窯を作る準備で何も無い斜面を、手伝いで一緒にスコップで掘った日が思い出される。あれからどれだけ時間をかけ、研究を重ね、成功と失敗を積み重ねてきたんだろう。やっと自分の思い描く器に一歩づつ近づき始めた矢先、放射能で窯は使えなくなった。近隣から放射能で汚染されていない薪を手に入れることも、ほとんど不可能になった。

いつもの笑顔の裏で、どれだけ悔しい思いをしているだろう、と思う。

放射能が奪ったのは、ひとりひとりのかけがえのない人生だ。

ここに繋がっているはずだった未来だ。

南蛮

南蛮

焼き締めと釉薬の器

焼き締めと釉薬の器

絵付けの作品

絵付けの作品


 

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きのう、用事があってでかけたカミさんがいただいてきた「粉ひき」

今日のおしゃべりで「粉ひき」の由来を教えてもらった。
韓国で白い土が高価で貴重な地域で、それでも中国の磁器のような真っ白な焼き物を焼きたかったので、普通の土の上に、白い土を水でドロドロに溶いたものを薄くかけて焼いたのがもともとの技法の始まりだったのだそうだ。だから釉薬のようにガラスでおおわれた器じゃないから、使う前に焼き締めの器と同じように水に浸ける必要がある。焼き締めの器は油や匂いが移らないように、使う前に水に浸して大事に使っていたけど、粉ひきもそうやって使う必要があるんだそうだ。だから色が変化していくけど上手に使ってその変化も楽しめるって。
こんな面白い話をしているといくら時間があっても足りない。(お昼まで仕事させなかった言い訳にはなりません)

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そして、今日放射能測定器を台から降ろしたお礼に左の器をいただいた。実働10秒ですよ。申し訳ない。ありがとうございます。

右の猫の絵付けのカップを写真にバチバチ撮りながら「これ奥様の絵付けですよねー」と聞いたら包んでもらってしまいました。完全にねだった形になっている。ごめんなさい、ありがとうございます。とても嬉しい。