日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部 宏治著)を読んだ。

沖縄の米軍機の訓練ルートを地図に書き込むと真っ白になる部分がある。それは米軍住宅のあるエリア。アメリカの法律で守られている沖縄のアメリカ人の上は低空で飛行機が飛ばない。そんな事をしたら危ないから。だけど地図で真っ黒になっている(飛行機が低空で飛びまくっている)ところには沖縄の繁華街や日本人の住宅密集地がある。これだけ見るとなんてアメリカはひどい国だという話になるけれど、

問題は、その「アメリカ人並みの基準」を日本国民に適用することを求めず、自国民への人権侵害をそのまま放置しているのは日本政府にあるということになります。(p.12)

あまりに「理不尽」。そして、その思いは僕の原発事故に対する怒りの大きな部分も占めている。「基地」も「原発」も根にある問題は同じだった。

でも、日本には日本の憲法があるから、それで沖縄の人の人権は守られるのではないか?と漠然と思っていたけれど、法律の上に日米安保条約があり、その上にあるはずの日本の憲法はそれ(条約)についての判断をしない、と裁判所が判断した時点で押さえになっていない、という信じられない状態が続いていることが明らかにされる。しかもそれは単に沖縄だけの問題ではなく、日本という国全体の事だった。原発や沖縄の出来事を見るにつけ民主主義はあるのかと思っていたが、戦後70年、占領はまだ続いていた。

沖縄からアメリカ軍の基地を無くす、シンプルに考えれば日本人にとっては当たり前の事に思えるのに、それをやろうとした鳩山元総理は内部から情報をリークされ、大手メディアを含め徹底的に叩かれていたことも思い出す。誰が叩き、何を守ろうとしていたのか。その答えが悲しすぎる。
県知事選挙でも、この前の衆院選でも沖縄の人たちは、明確に辺野古の海への米軍基地建設に「NO」と言ったのに、政権には民意を聞く耳は無いようだ。美しい海を基地に変えアメリカに差し出そうとしている。まるで「これからもずっと沖縄にいてください」と言わんばかりだ。

「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」で話題の矢部宏治が鳩山友紀夫と“日本の真の支配者”を語った!【前編】
「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」で話題の矢部宏治が鳩山友紀夫と“日本の真の支配者”を語った!【後編】
日本を支配する“憲法より上の法”の正体とは?
内田樹が語る「戦争について真剣に考えていない国が『戦争のできる国』になろうとしている現実」

それにしても今、勇ましく聞こえることをいう人たちのほとんどが、アメリカに守ってもらう前提なのが悲しい。親に養ってもらってるのに文句を言っている子どもみたいだ。
もう大きなものに委ねてしまって、自分で判断することをやめて、守ってもらい従順に従うことを70年も続けると、車の来ない交差点でも信号が青に変わるまで待ち続けるようになってしまうんだな、と思った。

15011201

※part5まである本書のpart1とpart2まで集英社インターナショナルのサイトで立ち読みできます