ノミで石をはつる時にノミのおしりを叩くのに使うのが「石頭」”せっとう”という道具。大工さんの使うトンカチを何倍も重くしたようなもの。
僕がメインで使っている石頭。トンカチの柄には樫などの硬い木が使われているけど、石頭はものすごく重くて、柄が折れて飛んでいってしまったら非常に危険。なので「うしごろし(牛殺し)」と呼ばれる木を使う。上の写真の石頭の奥にあるのがそれ。硬いのはもちろん粘りもあるので一度にパキッと折れてしまうことは無い。折れても持ちこたえてくれるのでそこで交換すればいい。といっても林業など山に歩いて分け入って仕事をする人が少なくなって入手するのが困難になったので、山の人に頼んで一生分をとってもらって仕事場で乾燥させつつ持っている。
石頭の柄が緩んできてクサビで対処していたんだけどそれも限界になった。早く取り替えなくてはと思っていたけど、結構、大変な作業なので先延ばしにしていたけど、雨なので石彫りを中断してテントの下で作業する。
少しヒビも入っているし。
まずノコギリで切り落としてしまう。断面を見たもらうとわかるように一分の隙もなく牛殺しの木が詰まっている。(というかそうなるように前回、取り付け作業をした)
全くすき間がないのでこの木を取るのがまず大仕事。ドリルで細い穴を何本も開けてノミやポンチを使って取っていく。
やっととれました。この時点ですでにちょっと疲れている・笑
いよいよ石頭の「穴」にどピッタリよりほんの少しだけ太くなるまで削っていく。硬い木だからこれがまた大変。ヤスリやかんなを使って作業。
ほぼ削れたら試しに入れて微調整。OKとなったら柄の先を叩いて少しでも締め、油を塗って滑るようにして入れていく。
石頭を上にして、ひたすら柄の下を固いものに打ち付けると、石頭は自分の重さで少しづつめり込んでいく。
出来上がり。
これからしばらくお世話になります。
今回はいくら叩いてもこれ以上入ってくれず、少し穴を余したけど、これで良しとする。
大工さんの使うトンカチは柄が垂直についている。石頭は金属部分を垂直に立てた時、柄のお尻が着くくらいが良いとされている。ノミに振り下ろした時にこの角度だと、ノミに効率的に力が伝わる。
と、ここまでの作業を上からiPhoneでタイムラプス撮影しました。自分の記録用に撮ったので長くて退屈ですけど。
午後は晴れてくれました。穂のついた草はキラキラ光ってきれいなのでもう少し刈らないで楽しむけど
刈れるところは少しずつ、仕事の最初と終わりにやっていかないと仕事場が草に飲み込まれてしまう。
帰る時に、蜘蛛とガガンボが必死の攻防をしているのを見つけた。蜘蛛がガガンボの足を1本、口でくわえている。ガガンボはなんとか逃れようと飛び回る。蜘蛛は飛ばされないように後ろ足で必死に草に捕まっている。
結局、最後ガガンボはなんとか振りきって逃げていった。体をガンガン振り回された蜘蛛はしばらく動けず、僕が近寄っても茎の向こう側に隠れることも出来ずに呆然と(たぶんw)していた。しばらくしてサササッと動いて茎に向こう側にまわって僕から身を隠した。
午後は空と緑がきれいだった。一年で一番美しくて良い季節。
ほんとにいつも感心です。
こういうことをこまめに記録しておくっていうのは、
うちの夫には絶対にできませんです。
素人の私たちにも分かりやすく、面白いです。
私だって、見たことないですもの、こういう、道具を作るってこと。
ウシゴロシの木だけは見たことありますが。
これからもいろいろ綴ってくださいねー。
ありがとうございます。
このブログの一番上に書いてあるとおり、だから、です。
これまで作った作品のほとんどは、完成写真だけじゃなくて途中経過も撮ってることが多いです。野外の大きなモニュメントは最初の原石から、途中、設置、完成まで。しかもデジカメの無い時代!だったからフィルムカメラで撮って現像して、作品ごとに分厚い大学ノートに写真を貼って文章を書いて。やってることは今と同じ。その頃に、デジカメとネットとブログがあったら良かったのに、と時々思います。
でも、すごく孤独で世界の誰かとちゃんと繋がっているんだろうか?という思いは制作を支える大きな要素だったから無くてよかったんだと思っています。制作を記録したノートは超個人的には宝物となって今でも手元にありますし。