ブーズ

 ブリヤート共和国のミロノフ兄弟が大量のビールと共に見たことの無い大きな鍋をわざわざ持ってきてくれた。信じられない量の大量の挽肉や小麦粉、野菜も買って持ってきた。特別な時や客人を迎える時に作る料理を夕食に振る舞ってくれるという。シューマイのような「ブーズ」(Буузы)という料理。中国語になると”パオズ”。包子ですね。モンゴルでも食べられているけど少し違うところがあるらしい。
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 これが最後に蒸す時に使う、専用の鍋。ホーロー。鍋の底に水を入れ右の板にボーズをのせ4段組んでフタをする訳だ。ロシアでもブリヤート共和国以外では売っていないし使っていないらしい。
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 これから具も皮も作る。ちょっとした長丁場になるので1杯飲んでからスタートしよう。急いで僕が1品だけつまみを作る。塩でもんだ枝豆をダッチオーブンに入れさやに焦げ目がつくまでフタをしたまま揺らして蒸し炒め。お湯に旨みが逃げないので味が濃い。
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 1杯だけみんなで再会を祝して乾杯したら調理開始だ。6時30分。1.6kgの挽肉!目を疑う大量の挽肉。豚と牛。本当はここに羊の挽肉も加えたいのだけど日本ではなかなか買えない。黒こしょうと塩を加えているところ。
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 その間にエルデニがタマネギ1個とニンニク1かたまり(本当はもっと入れたいのだけどカミさんの要望でこれだけにしてもらった)を細かな細かなみじん切りに。万能ねぎも入れたかったけど無かったので長ネギで代用。これも細かく。
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 ほとんど肉のボールの中身をよーくかき混ぜる。水も少し加えていた。これがスープを引き出すらしい。これはセルゲイが担当。手触りと匂いを確認しながら混ぜていた。
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 具は完成。ここまで約1時間。これから皮の作成に入る。
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 1kgの薄力粉のほとんどをボールに入れ水と混ぜた卵2個を入れ練っていく。エルデニの手際が良い。
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 広い場所がないので机でこねたら丸く整えボールをかぶせてしばし休憩。空気を追い出すのだと。手前のグラスは型抜きの代用にする。手のひらくらいの大きさの円になるサイズのグラスを選ぶ。
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 少しずつ固まりを切ったら薄くのばしてグラスの口で抜いていく。それを包み担当のセルゲイが包んでいく。
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 右手の位置は変えずに左手の親指で肉を少し押さえつつ右手の親指と人差し指でつまんで手前に回しながらひだを作っていく。33個のヒダがあると良いらしい。
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 「先生」の美しい包み。中央の穴はふさいではいけないけど大きすぎる穴だとスープが蒸している間に全部出てしまうのでちょうど良い大きさに。
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 羽根付餃子は我が家でも皮から作るのでカミさんと僕も包みを手伝う。
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 自信があったのに最初の僕の包みはこれだ。ひどすぎる(苦笑)右手を水平より下に向けた方がいいのと肉の外側に常に皮の余白をとっておくコツに気が付いてうまくできるようになった。カミさんは最初から上手に包んでほめられていた。クソー。
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 1回目に蒸す分以上のブーズができたので鍋の棚に並べていく。包子は下に葉物をひいてくっつかないようにしているけどブーズは底をサラダ油につけたら2個の底をすりあわせて余分な油をとって並べていく。
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 もう2時間以上たって9時近く。お腹もすいて限界。みんなでどんどん包む。
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 具が無くなっても皮が余ったので麺に打ち新聞紙で乾かす。スープを作って茹でた麺を放り込んで食べて、というので乾かしておく。
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 専用の鍋で20分蒸したブーズ。出来上がりましたよ。蒸す前より大きくなっている。熱々のを皮が裂けてスープが出ては台無しなのでコップに水を入れ指を冷やしながらそっと皿に盛っていくエルデニ。
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 生まれて初めのブーズ。カラシやケチャップ、醤油などをつけて食べる。ミロノフ兄弟はスープがこぼれないように手で失礼しますと手で食べていた。僕はカラシと醤油で。うまい!こんなに肉肉肉なのに蒸しているからかしつこくなく予想以上に食べてしまう。もうこれで最後にしようと思ってもビールを飲んでまた食べてしまう後を引く旨さ。肉をあまり食べないカミさんがいつまでも食べ続けて驚く。粉物の好きなカミさん、肉の悪い面が無くなって美味しさだけが大好きな小麦粉に包まれて最高、と。ふたりで普段の3倍食べました。
 エルデニは日本語もペラペラだし。日本の国費留学の試験に受かって来年からは東大に通うことがほぼ決まった。頭良いんだなぁ。セルゲイも2年前に比べたらすごく日本語上達している。ブリヤートのことやロシアのこと、お父さんのアレクサンドルのことビールを飲みながら話している間に夜が更けていった。