石を磨く

121017あっという間に日が落ちる。最近は、暗くなったら電動工具を片付けて、プレハブ小屋で小さな石の作品を砥石などを使ってしばらく手で磨いてから帰る事が多い。石を磨くための道具を使えば比較的短時間で石を磨く事ができる。だけど風景を反射するくらいにピカピカになってしまう。最近、黒い石をピカピカでは無く、いぶし銀のような深くにぶく黒々と光る色に仕上げるのが気に入っている。(リアル友だちな方は今年の年賀状で出した作品がそうです)この色は砥石や耐水ペーパーなんかを使って、淡々と時間をかけて磨く以外に(僕には)出すことが出来ない。そうやって出した黒い色と、磨きの道具を使って短時間で磨いた黒い色の違いなんて気が付かない人の方が多いだろう。それでもグループ展の時にある作家の方が、そうやって磨いた作品をしげしげと見ていたので「磨きの道具使ってないですよ」と言うと「だよなぁ。こんな色でないもんなぁ」と。
わかる人にはわかるのだなぁ、とその時思った。気が付く必要もないのだけど。でも、わかる人はいるのだから素人がわからなくても手を抜かずに仕事する、という話ではない。誰かが気が付く、気が付かないというのは実は全然関係無い。時間をかけて磨いたらもっと良い色が出る事を自分が知っていたら作品を見る度に、自分がその事を思う。(もっと良くなるんだけどなぁ)誤魔化そうと思ってもさすがに自分は誤魔化せない。知ってるから。これがボディブローのように効いてくる。
それがいやで、今日も日が落ちた後、砥石をかけてきた。
砥石をかけてると手の皮もけっこう削れてしまう。ゴムの指サックをすればいいんだけど感覚がわかりにくくなるし。おかげで今、僕の指の指紋はほとんど無いよ。本のページがなかなかめくれないよ。