午後のお茶 吉岡清子

 子供の頃、家の本棚からよくひっぱりだして眺めていた本がある。昔は上等な本はよく紙のケースに入っていた。透明なビニールに包まれたその本を箱から出すのは儀式のようだった。実際に作って食べるところを想像しながら飽きもせず眺めていた。昔から食いしん坊だったのかも。
午後のお茶 吉岡清子著 婦人之友社

13022405

 先日、実家に帰った時この本の話になって、いつも見ていたという話をしたら、”私の元にあっても、今は出番がなくなったから”と送ってきてくれた。奥付を見たら、昭和43年3月10日発行。
 お客さんを迎えた時の、お茶やちょっとご馳走なレシピを集めた本。
 本が出た当時と、時代が違うので別の意味でも面白い。タイムスリップ感も楽しんでいる。
給食の指導をしていた「大先生」のレシピでパスタを茹でて(うどんや蕎麦のように)水でしめるっていうのがあったらしい。で、研修か何かでイタリアに行ったらパスタは茹でるだけで、水でしめたりなんかしないことが判明したなんて時代もあったらしい。(この本の著者の事ではありません)

13022406

 この中でどうしても作りたかったレシピが「春餅(ツンビン)」春巻きのような食べ物。薄く焼いた餅(ビン)に好みの具を入れて特性の味噌で巻いて食べるというもの。中学2年の夏休みに、この予算の中で材料を揃えて作りなさい、と数千円を渡されて勇んで買い物に行って作った。嬉しかったなぁ。楽しかった。すごく難しかったけど。
 デザートに勧められている杏仁豆腐はまだ日本で一般的になっていなかったから、読みが「あんにんどうふ」ではなくて「しんれんどうふ」とルビがふられている。このレシピだって、今で言う北京ダックの、ダックじゃない版ではないだろうか?

 久しぶりに読んでも、なかなか面白いレシピ。絶版で読めないから、そのページだけスキャンして紹介。数十年ぶりにやってみるか。

p.76

p.76

P.77

P.77



P.78

P.78

P.79

P.79