島らっきょうな気持ち

同じ安アパートで生活し、同じ学校で歌を勉強していたカミさんと沖縄から来てくれた友だちが、ふたりで声を合わせている。武満徹の「小さな空」が聴こえてきた。泣きそう。(是非、石川セリのCDで)

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真夏のように暑い日。今日、友だちはまた沖縄に帰ってしまう。その前に津波で全てを持って行かれたサンタフェのあった荒浜に一緒に行く。

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大震災の前には無かったコンクリートの高い防波堤が視界の全てを覆う。悲しすぎる光景が延々と続く。

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一部の建築業者は潤うだろうけど、辺野古のジュゴンを絶滅させようとしたり、この国を治める人たちは自然の美しさと再生する力を大金を投じて壊してばかりだ。目先の利益だけ考えれば地元に仕事を作ることになるかもしれないけど、この自然は一体誰のものだ?
僕らは豊かな自然を受け取ってその中で生きてくることが出来た。それを未来の人たちにもできるだけ豊かなままで渡すべきではないのか?自然は今行きている僕達のものではない。昔から未来に渡るこの国で生きる人達のものだ。生きている間だけその恵を少しいただくだけで充分なのに、自分のためだけに、自分の時代のためだけに、自分の経済的な利のために自然を壊している。壊すのは簡単でも一度失った自然が再び元の姿になるのは絶望的ですらある。放射能という問題まで未来の人たちへ先送りしている人類史上初めての僕らなのに。

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自然災害の脅威に対向するのは、巨大な防波堤という考え方があまりにも幼くて泣けてくる。現実に起こったことから何の教訓も得ていなくて泣けてくる。自分の知っている方法、ただそれだけの馬鹿の一つ覚え。防波堤を大きくすることでは守れなかった津波の被害を、それでもさらに大きくすれば乗り超えられると思っている。強大な防波堤で囲まれた地域の人達はその防波堤が守ってくれると安心してしまって、すぐにてんでんに(自分一人だけでも)逃げるという津波からの避難の鉄則を守ることが出来ずに多くの方が無くなった。物理的にも高い防波堤は津波が迫っているのを隠してしまい津波が迫っているのを知ることが出来なかった。そして防波堤を乗り越えた時はもう辺り一面が一気に水に呑み込まれた。

きちんと教訓を得ることが、無くなった方の命を無駄にしない唯一の方法だと僕には思われるけれど、県や国は今日もコンクリートで海岸線の豊かな自然を壊し続けている。誰のために?

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個展にも来てくれた cafe橙 に3人でランチに出かける。お店でDMを見たと言って来てくれた方もいたからそれへのお礼も言いたかった。トマトソース美味しい。おしゃべりしていたら予定していた新幹線を1本遅らせることになってしまった。

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名残惜しいけど新幹線の駅まで送っていった。今度会えるのはいつだろう。夕食にお土産の沖縄の島らっきょうを沖縄の味噌につけて食べた。少しほろ苦くて美味しい味は今の気持ちにぴったりだった。