杉崎正則展 宮城レポート2015 3 11

SARP 仙台アーティストランプレイスに、杉崎正則 展「宮城レポート 2015・3・11」を見に行った。

作品を前に作家と話していて、話の方に神経が行くと目の前の作品が、少しぼやけて見えて、まるで津波が波頭の泡を風に飛ばしながら膨らんでいくような錯覚に陥った。本物の「津波」は見ていない。繰り返し繰り返し映像としてみただけだけど。

あの日から4年目の3月11日を過ごすのに、僕にとってこれ以上無い、空間だった。

どうもありがとう。

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作家の言葉

今回の個展では、
「東日本大震災の記憶」をテーマにした立体作品を展示いたします。
大きさ 高さ260㎝×幅720㎝ 
素材  錆びついた波板トタン
降雨によりサビてしまった波板トタン。
これを見た時、大震災の時の「津波の航空写真」の記憶が瞬時に想起されました。「降雨によるサビ」と「津波の航空写真」との因果関係はありませんが、依然として、震災の記憶と結びつけて物事を見てしまいます。
「震災の記憶」、「人間の記憶」の根深さに、ただ恐れをなすばかりです。

ひとつの素材にこだわる作家が多い中で、石、焼き物、写真、木など、選ぶ素材はフレキシブル。素材の束縛を軽々と飛び越えて必要な物を選んで作品にしているように見える。今回の展示は見えているのは錆びたトタンだけなのに、想起させるものは少なくなかった。

15日(日曜日)までです。是非、皆様も。

会場を出て自宅に向かう仙台の町には雪が降っていた。
4年前。仙台で被災したカミさんを迎えに信号もつかない道を、何時間もかかって走った時のことを思い出さずにはいられなかった。あの日も雪が降っていた。