てとてと 春 2015

放射能の値を測って、自分で食べる食べないの判断材料をくれる「みんなの放射腺測定室 てとてと」。原発事故の混乱と抑圧と情報が錯綜する中、事故のその年に立ち上げた事がどれだけ大変だったかと思う。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシでは各地域の小学校に国の支給した食品の測定器があり、国で研修を受けた理科の先生が測定をすることを当たり前の事として国がやっているけど、原発事故の後、日本がやったのは「ただちに健康に影響が無い」と言ったり「食べて応援」だった。
「てとてと」には測るだけではなく精神的な支えにもなった。そこに集う人と話すときは抑圧を感じないで話すことも出来た。

「てとてと」では毎年冊子も出していて、2013年2014年と冊子の表紙に僕の写真を使っていただいた。そして今年も。しかも愛犬小春の写真!

表紙には毎号、さえ子さんの詩が掲載されるのだけど、今年の詩もすごく良い詩だ。「いのち」を丸ごと手ですくって「ほら」って見せてもらったみたいで泣きそうになる。そして、さえ子さんがこの詩を書いている時に小春のことを頭に思い浮かべた、というので小春の写真が表紙を飾ることになった。

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それだけではなくて、今号の「いのちのほうへ」という特集への原稿依頼があり文章と写真を掲載していただきました。原発事故の後で失ったもの、得たもの、そしてこれからどこへ向かうのか。テーマにそってこれまでの4年間を振り返って文章にまとめることは自分にとっても、得ることが少なくなかった。なにしろ、この4年間は、個人的にも激動だった。生活や考え方が一変したし、友だちが一気に増えた。自分がやってきた彫刻の仕事にも大きな転機があった。その最初の一歩は「てとてと」のひめちゃんが企画してくれたてとてとでの「NO NUKES写真展」だったように思う。そんな事も含めて、これまでとこれからを書かせていただきました。
こんなチャンスをくれた「てとてと」の皆さんに感謝。特に担当のみどりさんに感謝。文章やレイアウトの確認をていねいに何度もやってくれて、一冊の冊子を作るために、どれだけ時間をかけて手間と優しさをかけて作っているのかを、垣間見させてもらった。きっと、そうやって畑や野菜を作ってきたんだなぁと感じました。みどりさんを始め「てとてと」の運営委員の方々の多くは土と共に生きてきたお百姓さんだ。彼らの思いは、どんなに悔しく悲しいことだったのか改めて想像しても、それは絶望に近いものだったろうと思う。

この冊子は500円で販売され「てとてと」の運営資金に活用されます。よろしければ、買って読んで協力してもらえると嬉しいです。