続けてこられた

制作の過程を記録している。老後の楽しみに撮ってるというのはあながち冗談でもない。時間がかかる石の彫刻の制作過程を、完成した後からパラパラ漫画のように、原石から完成まであっという間に進んでいくのを見られるのは楽しい。(作品をご依頼いただいた方にはそれもオプションでプレゼントしています)それに難しい制作の時にあの作品のあの部分はどうやって制作したかって、自分で見直せるのも役に立っている。最近では石彫りについて話しをさせていただいたりする機会があるけど制作の写真と動画が山のようにあるので、それを見ていただくと、話の下手くそさに気が付く人がほとんどいない。
その制作の記録用の、防塵防水のコンパクトカメラは過酷な環境で傷だらけになりながら石の写真だけ撮っている。なんか不憫だなと思って今日の午前中、記録しかとらないコンデジで仕事場の景色をわざわざ撮った。良い空だった。

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そうか。そうだったのか。今から思うとそれはコンデジ君が最後にきれいな景色も撮らせてよっていう僕へのメッセージだったのか。

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久しぶりの石磨き。水はまだとても冷たい。景色だけ見てると温かな春みたいだけど、屋外で働いている人は知っている。まだまだ、寒い。

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今日の仕事場。

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昼食に戻るときに家のすぐ近くで撮った一枚。

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家に戻ったらスイセンが咲いていた。

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我が家も春めいてきた。

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昼食。友だちの写真にインスパイアされて、いつもと違う構図を探してみる。

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寒いけど日射しは温かくて屋内だと温かい。お腹一杯でソファに横になったら温かくて、景色は光にあふれていて寝てしまった。

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いけません。午後の仕事に向かいます。

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制作をこまめに記録しているコンデジの液晶割れた。お金が全然無い時に、次から次へと道具や家電が壊れるの法則。ほとんどの作品は最初のただの石から完成まで記録してるから、どうしても必要なんだけど。今朝、美しい空をこのコンデジで撮ったのは、宿命を感じたコンデジからのメッセージだったのか?なんかごめん。

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困ったなぁ、と思ってふと見上げた空の雲にほっこりする。

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日常の細かな出来事を越えて、自然は今日も悠々としている。

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なんか、そのまま帰りづらい心持ちになって、高蔵寺に寄り道して手を合わせてから帰ることにする。雑な感じの石畳に気持ちが救われる。

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仕事場のすぐ下にある高蔵寺。建物と本尊は国指定重要文化財。

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もうすぐ満月の月が空に浮かんでいる。写真撮っていたら手がかじかんできた。みんなが室内から見ているより、外はまだまだ寒いよ。

コンデジの液晶を割ってしまったってインスタにアップした数10分後。高蔵寺で撮った写真をインスタにアップしていたら女神降臨。

このコンデジを買ったすぐ後に一眼を買ったので、今はまったく使ってない子

Mari Shibataさん(@mari.shibata)が投稿した写真 –

このコンデジを買ったすぐ後に一眼を買ったので、今はまったく使ってない子
動作確認してませんが、大丈夫そうなら使ってくれますか?

。。。。。。信じられない。

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普通の人は通らない田んぼの中の道を通って帰る。夕日で長く長く伸びた石彫り号の車の影。

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影だけみたらロックスターになった気分。
夕日が赤くなるか水路の横で待ってみる。

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夕日で明るくなった空が水路に反射してる。焼けるかな?

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インスタに#イマソラアップしながら、少し待ってみる。

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残念、赤くならなかった。きれいだけどね。

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今日は、これで帰ります。

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舗装されてない道を走ります。

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家の直ぐ近くまで来たら少し焼けてきた。

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田植えに備えてすでにあちこちの田んぼは耕耘され始めている。

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明るい空に明るい月。

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この写真アップしてお終いにしようと思ったら、iPhoneの電池残り20%あったのに落ちました。冷えると電圧が下がって落ちてしまう。まだ、それだけ寒いって事だ。

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電話有り。僕の仕事場の大家さん。連休だったので(僕の大好きな)豆味噌を作ったから持って行くと。カミさんが雑煮しかないけど一緒に食べましょうと言って3人の夕食。鯖の味噌煮とか白菜の漬け物とか餅かきとかたくさん持って来てくれる。料理上手だからどれも美味しい。禁酒日だったけど日にちをシフトして飲んでしまう。だってこんな美味しい肴があるのに飲まないのは失礼。(ちなみに夕食が雑煮だったのは、酒が飲みたくならないように、というカミさんの配慮のメニュー)

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仕事場が無くなって困った僕に仕事場を貸してくれた棟梁は今はもういない。でも奥さんが今でも広い仕事場をただ同然で貸してくれて、っていうか今日みたいに、美味しい料理を持って来てくれたり飲みに連れて行ってくれたりマイナス。僕と付き合っているばかりに。仕事場や美味しい料理をふるまってくれる女神。それだけじゃなくてカメラをくれるって言う女神も。今日はなんて日だ。女神降臨しまくり。

何にもないところで石を彫っていた僕に、昼食から戻ったらプレゼントのプレハブ小屋を建ててくれていた恩人とか、たくさんの石を無償でくれた石屋の社長さんとか。そんな、僕にとっては奇跡的とも思えるいくつもの出会いのおかげで、モノツクリを今日まで続けてくることが出来た。その出会い、どれかひとつ欠けただけでも、お金にすることが難しい石の抽象彫刻の制作を続けてくることは出来なかっただろう。いつもギリギリやってきた。個人的には奇跡的なことだ、と思う。そして、これからどこまで続けられるかは、全然わからない。でもバイトでも何でもして可能な限り続けて、せめて良いものを作らなくては、と思いを新たにした宵だった。

支えていただいているみなさまに改めて感謝。ありがとうございます。

※今日のほとんどの写真は画像クリックで Instagram にリンクしています。