2年目の3.12

3.11だけだったら、不平を口にせず、我慢強い東北の人間は世界に、大震災からの驚くべき復興の姿を見せていたはずだ。

だけど、3.11の次の日に、3.12があった。
この国が放射能まみれになった最初の日。

それから2年だ。

何もすすまないまま。

というか、被曝させられた人間の、置いてけぼりだけが進んでいく。
棄民。

日本以外の国が「福島を忘れるな」という声をあげているニュースに接する度に、福島を忘れ、無いことにしようとしている日本という国の、戦後一貫して現実を直視しない力のすごさを思い知る。

人の体や家や土地に、なんかしらない変なものをふりかけたんだから、かけた奴が元通りにしてくれ。

金で解決出来る事ではないんだ。

お茶をこぼしただけでも日本人ならあやまるのが普通(だった、少なくとも僕の世代は)なんじゃないのか?
あやまりもしないで。
あやまる時は、逆切れ気味で。

放射能を直接、体に浴びせられた俺らに、全く関係ない人たちが外野から、危険じゃないとか、安全は保てるから処理できない放射能を出し続けても原発動かせとか、うるさい。
うるさいし、言葉の使い方が汚い。言葉の使い方が冷たい。
命を考える前に、そろばんはじいているから。

原発再稼働とか、放射能の人体に与える影響を考える、その前にやらなきゃいけない事があるんだよ。順番がおかしい。

本当は、そんなことどうでもいい。

ただ元に戻してくれ。それだけ。
だれも責任とってないし、だれも片付けてないけど、家の庭にガイガーカウンターがピーピーなる土が普通にあるんだよ。

なんの教訓も得ないことにしてる。
原発の収束宣言が象徴的だ。
収束した原発からは、今日も放射能がもれ続け、放射能で汚染された水があふれ続け、どれだけの方達が命の危険にさらされて作業していると思ってるんだ。
原発の収束宣言を取り消せよ。目は見えているの?
(※下に追記あり)

原発推進や放射能は直ちに人体に影響は無いとか、あえて声高に叫んでいる人たちは、自分が原発から遠いから考えなくていいし、一生放射能を浴びることがないという立ち位置で言っているんだろう。
もし、脳天気に原発を動かしてある日突然、何の前ぶれもなく、放射性ヨウ素がたっぷり含まれた空気を吸わされ、水をもらうために一日中、並んでいる間に放射性ヨウ素がたっぷり含まれた雨で濡れネズミになり、放射能が含まれた水と食べ物を食べさせられても、放射能は直ちに人体に影響は無いから、自分には何も特別なことはしなくていいです、それより原発稼働が大事!とか言うのだろうか。ましてやそれが自分の子どもだとしても。自分の愛する人だとしても。

被曝させられる可能性が自分にはゼロと信じられるとしたら、あなたの目に、この2年間の東北の人たちの姿は全く映っていない。ましてやチェルノブイリの子どもは。

自然と、未来の子どもたちにあやまってくれ。

ごめんなさい。

僕たちは生まれた時に、それまでの人たちが積み上げてくれた豊かなものをいただきながら生きて来ました。
だけど、僕たちは生まれ来るあなた達に最初から、処理できない放射性廃棄物と、汚染された土地と物を押し付ける、人類史上でも稀有な、マイナスの財産を次の世代に渡す事になりました。

未来の子どもたち、ごめんなさい。

2年前の、2011.3.10。放射能の事を気にしないで「普通」に散歩するのが「最後」になるとは思いもよらなかった日の、愛犬小春との昼の散歩。足元に雪が薄っすら残っている。
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小春と一緒に戻ってきたら、カミさんが玄関の前で、畑の大根を細く切って風に当てて、自家製の切り干し大根を作っていた。こんな写真でせつなくならなくてはいけないなんて。今はもう叶わない、こんな何気ない日々の暮らしを、幸せだったなぁと思わないといけないなんて。
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俵万智さん 母として沖縄避難 
「子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え」


映画:東京原発より

 
 
【追記:2013/03/14】

安倍首相、原発事故収束宣言を撤回

衆院予算委員会で質問に答える安倍晋三首相=13日、国会・衆院第1委員室(酒巻俊介撮影)

 衆院予算委員会は13日、東日本大震災からの復興に関する集中審議を行った。安倍晋三首相は、野田佳彦前政権が平成23年12月に表明した原発事故の「収束宣言」に関し「地域の話を聞けば政府として収束といえる状況にない。安倍政権として収束という言葉を使わない」と述べ、事実上撤回する考えを示した。茂木敏充経済産業相も「福島第1原発は冷温停止の状態にあるが、廃炉も含めたすべての課題が解決したようにとられかねない」とし、首相と歩調を合わせた。

 一方、安倍首相は「地元の声を拾って反映させようという野党の提案にもしっかり対応したい」と語り、与野党で協力して復興に取り組む考えを強調した。

 太田昭宏国土交通相は、原発事故によって福島県外へ自主避難した被災者らを対象とした高速道路の無料化について「関係省庁と連携し、できるだけ速やかな実施に向けて対応したい」と早急に取り組む方針を示した。

 石原伸晃環境相は、原発事故で生じた放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場の選定について「いっぺんに全て解決するのは難しい。じっくり取り組みたい」と述べた。

産経ニュース 2013.3.13 22:20