おのぼりさんの美術館巡り

 国立新美術館森美術館に出かける。どちらの美術館もまだ行ったことが無い。六本木は縁の無い土地。地図を手に完全なおのぼりさん。
100228
 都営大江戸線「六本木駅」から歩き始めたら安田侃の「妙夢」を発見。大理石の作品は何度も見てきたけどブロンズは初めて。
100228
今、これを書くために調べたら東京ミッドタウンにはこれ以外に僕の見たかった大理石の「意心帰」も設置されていることを思い出した。階段を降りれば見ることができたのに残念。
100228
 少し歩いて、国立新美術館。雨の予報の中なんとか天気が持ってくれて幸せな初対面。
100228
 美しい。思わず写真撮る。
100228
 黒川紀章、すごい。この斬新で自由な発送を晩年でも平気でしている。

 企画展はルノワール展だった。学生の頃から国内外でたくさん見ているのでそちらはパスして「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」を見る。圧倒的な量の作品がこれでもか、と展示されている。主に立体を見て回る。それにしても。これだけの作品があふれている中にさらにもうひとつ自分のものを提示する、その意味と可能性を考えさせられる量だ。そして若いエネルギーが渦を巻いていた。今時は感想を書き込めるように作品の近くにノートが置かれポートフォリオや名刺、ハガキなどでアピールしていた。特に気に入った作品はふたつ。みんな写真を撮りまくっていて僕もそのふたつの作品は撮ったのだけど掲載はまずいだろうから名前だけメモ。
・久保田ゆきさんの「雲のまにまに」(2010/03/04追記:膨大な作品の中からこの作品を気に入った人が僕以外にも居たようで写真もアップしていたのでリンクを貼っておきます
・佐々木諒さんの2メートルを超える木に黒く着色をして表面を細かな渦巻きを線で彫り込んだ作品。ポートフォリオをみると僕の地元の伊達冠石を使った同様の作品もあって興味深かった。

(画像クリックで拡大)
 美術館を出る頃は太陽も顔を出す陽気。ちなみにネットで知り合いのマサミチさんも同じ頃、ルノワール展を見ていたようで僕がもう少しまめに携帯からのツイッターをチェックしていれば初めてお会いすることが出来たのに残念。「新宿でラーメンなう」とか「初 国立新美術館なう」とかモバツイッターからツイートしてたけどリプライは見てなかった。
100228
 次に森美術館を目指す。東京ミッドタウンでまたこんな彫刻が。
100228
 六本木ヒルズに僕の大好きな作家ルイーズ・ブルジョワの「ママン」
100228
 以前、ルイーズ・ブルジョワの個展で海外に設置されたものの写真を見たけどやっと本物が見られた。
100228
 そして森美術館へ。企画展の「医学と芸術展」をどうしても見たかったので、昨日帰らずに東京の実家に一泊したのだ。
100228
 医学と芸術は今では全く別の領域のようだけど、写真が発明される前は骨格や筋肉を記録するためには観察眼とそれを再現して描く力が必要だったわけで分かちがたい領域でもあったはず。文学や絵画を始め全ての芸術には「人間とは何か」というテーマが流れているだろうけれど、それは医学にとっても同様にあるはず。いろいろなアプローチのしかたで人間(の精神や体)に迫ったこの展覧会が面白くないはずが無い。事実、最近の美術展の中でも筆頭に面白い展覧会で、わくわくしたりドキドキしたり(するような展示もある)している間に思ったより長い時間を過ごしていて予定していた新幹線を乗り遅れたほど。
 それにしてもいろんなものを一度に並べてみた、といった感じの内容で遊園地の様でもあった。印象に残っている作品をいくつかメモ。
・レオナルド・ダ・ヴィンチの身体のデッサンやミケランジェロの筋肉のデッサン。目の前5cmまでよって見た。赤いチョークの様なもので描かれたミケランジェロのデッサンは今、描き終えてばかりのところを見ているような錯覚に襲われた。
・好きな作家でもあるダミアン・ハーストの薬を並べた作品。美的な事には関係無いだろうけど何かを並べるという行為にどうもひっかかるところがある。本を読んで読み終えた後にどう並べるかということに少なからずエネルギーを使ってきたからか?また立体だけでなくダミアン・ハーストの手術の様子を描いた絵画の作品を初めて見た。写真のブレのような表現も。
10022812.jpg
・アメリカンコミックのヒーロー達が登場した時に生まれたとして年老いた今の姿をリアルに再現し老いたスーパーマンや、バットマンなどが老人ホームに集っているというジル・バルビエの「老人ホーム」という作品。老いたキャットウーマンの横のテーブルにはなんと上野 千鶴子の「おひとりさまの老後」が置かれていた。作家は日本語を読めないだろうから誰かが勧めたのだろうか・笑。ナイス・アシストだ。
・マスターベーションを防止するための男子用、女子用の装具
・HONDAの体重支持型歩行アシストの実物とムービー。パワーアシスト付の自転車の人間の足バージョンといったらいいだろうか。HONDAのサイトでもムービーが見られる。取り囲んで見ている人が口々に「すごい」と言っていたけど僕も書きたい。これすごい。
 カタログは売り切れだったので増刷の予約購入を申し込んで帰ってきた。刷り上がって届くのが待ち遠しい。
 美術館で見た「不平の合唱団」がとても面白かったのだけどYouTubeで見られる!のでおまけに貼り付けておこう。