かつお節と復興

 自分で頑張って作っても努力が報われない料理や食べ物がある。僕の場合はマヨネーズやカレー。酢と油が分離しないように攪拌しまくってヘトヘトになってもマヨネーズがその分美味しくなるかと言ったら買った方が断然おいしい。カレーもクミンやターメリックなど必要なスパイスを集めて自分で作っても。。。マ・ズ・イ。日本のカレールーのレベルの高さたるや。
 一方、努力が何倍にもなって「美味しく」返ってくるから少しくらい大変でも、たまには自分で作りたいものもある。自家製味噌(これはカミさん担当)、トマトケチャップ、麺つゆ、などなど。
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  マルヘイかつおぶしの高級な鰹節をたくさんいただいたので、昨晩丁寧にとった出汁にかえしを合わせ大根おろしをたっぷり入れて昼食におろしそばを作った。マルヘイかつおぶしでとった出汁がうますぎる。そばもいただいた岩手町名物の元祖・一方井そば。一番上に乗っているのは仁(梅干しの種の中身)
以下は昨晩の出汁取り作業
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 RO水2Lに昆布を入れ沸騰したら削り節薄いのと厚めのもの2種類合わせて100g投入。あくを取りながら10分煮立てて火を止め一番だしの完成。
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 漉した鰹節を1Lの水で同様に煮立て2番出汁。奥の小鍋で砂糖25gを醤油180cc に入れ弱火で加熱。砂糖を完全にとかしみりん20cc を加えて沸騰したらすぐ火を止めてかえしの完成。だしとかえしを好みで合わせてつけ汁にもつゆにも。
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 昆布はカミさんのおやつになる。鰹節は愛犬小春のおやつになる。かえしは常温で数週間もつけど出汁は傷みやすいのでペットボトルに小分けして冷凍。
 友だちの彫刻家の奥さんの実家が丸平かつおぶし。魚介系のおいしいラーメン屋には判で押したように丸平かつおぶしのカレンダーがかかっていたもんだ。それほど味には定評があった。でも石巻にある3階建ての工場は大震災の津波で2階まで水没してしまったのだそう。それでも今、復興に向けて歩み始めている。そしてこんな話も。少し泣いた。
 2008年に創業100年の悲願だった東京の直営店を大田区梅屋敷にオープンした。(カミさんと僕がふたりの生活を始めたのは蒲田で梅屋敷も近くだった。元気な商店街だった)「ご飯が美味しくなる魚の提供」をコンセプトに多くのお客様に愛されるようになっていた今年の3月11日、石巻の本社が津波に襲われた。工場の機械は流され原料の魚や秘伝だった漬けダレも流され今もなお生産が不可能な状態。食材の供給が不可能なため3年半続けてきた悲願のお店を閉めなくてはいけない事になった。
 そんなある日閉店した東京の直売所の大家さんから写メールが届いたそうだ。
 閉店の際に出した貼り紙の隙間という隙間に今までの感謝と応援のメッセージで埋められた貼り紙。それだけでも足りずに誰かが持ち寄った紙が追加されそこにも応援のメッセージ。新しく追加された紙は計6枚、寄せ書きの数は100近くにもなっていたそうです。
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希望のかつおぶし