ストリートビューで自作彫刻を見る旅

調べることがあって黒海やカスピ海周辺をグーグルマップで見ていたら、エリスタの街が解像度の高いストリートビューで見られるようになっていることに気が付いた。

ロシアにカルムイク共和国という国があってエリスタはその首都。1997年と1998年にここで行われた国際彫刻シンポジウムに参加してエリスタにふたつ、僕が制作した石の彫刻が建っている。ふたつのうちのひとつはメインの道路に面して設置された。

「Dance」 カフカス砂岩 高さ2.3m 1997年

「Dance」 カフカス砂岩 高さ2.3m 1997年

道路沿い、しかもメイン道路脇に建っているから、これが見られるのではないかと、Googleマップのストリートビューの中をグリグリ動き回っていたらあった・嬉!


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去年、カルムイク共和国のパパと呼んでいるバイスキンというカルムイク共和国の彫刻家の娘さんが、facebookでこの彫刻の写真を撮って送ってくれたけどストリートビューで見られるのはまた別の感慨がある。

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シンポジウム期間内になんとか作品を作り終えて設置した。僕の要望のとおりに地面を少し小高くしたその真中に建ててくれた。土を運び込んで仕上げをしてくれているところ。

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ホーミーを唄えるトゥバ共和国の彫刻家マイオールと記念写真。気があって共通の言葉がないのにふたりでよくディスコに行って女の子と踊った。

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この作品の道をはさんだ反対側に僕がとても気に入ったブロンズの彫刻が建っていた。弦楽器にもたれて何かを思っているような姿。静けさが漂うような、またある日は音楽が聞こえてくるような本当に良い彫刻。


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これもストリートビューで見ることが出来た!

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子どもたちが自由に上って彫刻と触れ合っているのも素晴らしかった。楽器の部分が空洞になっているので子どもたちが、くぐっているのを見るのは幸せな光景だった。

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ロシアの黒海に面したノボロシスクに住んでいるギエナ・パンコという同い年の彫刻家が、このブロンズ彫刻を創ったカルムイク共和国の彫刻家と知り合いでアトリエに連れて行ってくれた。彫刻だけではなくて絵も描く作家なので壁に何枚もかかっていたけど現代的なイラストレーションのようでこれも素敵だった。

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黄色い服の女性がブロンズの彫刻を創った彫刻家。芸術を担当する文化大臣が芸術を分かってないって話で盛り上がった記憶があるんだけど(笑)何語で話したのか。ギエナも彼女も英語は話せない。
ちなみにカルムイク語で「こんにちは!」は「メンディット!」目上の方にも友だちにも。朝昼晩のあいさつくらいはロシア語で覚えたけど、あえてロシア語じゃなくて「メンディット!」てあいさつするとみんな一瞬間を置いて笑顔になりとても喜ばれた・笑
そして今、すぐ思い出せるロシア語は「ハロードヌィ・ピーバ・イエスチィ?」だ。意味は「冷たいビールある?」

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アトリエには僕の大好きなブロンズ彫刻の1/10スケールモデルの石膏もあった。

Changing World II ウラル大理石 高さ1.8m 1998年

Changing World II ウラル大理石 高さ1.8m 1998年

もうひとつの彫刻はカルムイク共和国では有名なクグルンチーノという詩人の邸宅の庭に設置されたので、残念ながらストリートビューでは見つけることが出来なかった。

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上の作品のコンクリート基礎を創っている様子。日本の寸分たがわない精度で作られている基礎を見慣れているので、このアバウトな感じに少し驚いた。地震が無い、というのも関係しているかもしれない。

僕の彫刻やブロンズの彫刻が建っているところから歩いてすぐのところがホワイトハウス。(大統領府)


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ストリートビューで見るとこんな感じ。で、驚いた。僕の行った時には下の写真のようにここにスターリンの像が建っていた。無くなってる!どこかに移設されたのだろうか。

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ホワイトハウスの前は週末に野外ディスコになり、これだけの大きな広場が大勢の若者で埋まった。もちろんシンポジウムの間、僕もかかさず踊りに行った。

大統領府では深夜に、その時の大統領をしていたイリュムジノフ氏にも会った。一緒に写真も撮ってくれた。同い年だった。気さくで(文化大臣は渋っていたけど)サインを頼んだらカタカナで書いてくれた。日本語で話してはくれなかったけど日本語が堪能らしい。同じなのは年くらいで後は全部違った。彼は世界でも指折りのお金持ちでもある。日本の会社で商売を勉強して交易で大富豪になったようだ。

そして驚いたのがストリートビューで見る、今の(2012〜2013年に撮影されたようだ)エリスタの様子。道路には車があふれしかもどれもピカピカ。僕が行った17年前はこんな感じだった。

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車もいかにもロシアだなと思う車ばかりだったけど様変わりしている。なんか街もカラフルになっているし、ずいぶん豊かになったような印象。

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2年続けて行ったので仲良くなった、石を彫る会場近くに住むカルムイク共和国の子どもたちと。

山河(建設省小田川水門竣工モニュメント)  アフリカ産黒御影石 幅3.6m 1996年 撮影:西原直紀

山河(建設省小田川水門竣工モニュメント)
アフリカ産黒御影石 幅3.6m 1996年 撮影:西原直紀

そういえば大震災の後、東北地方のストリートビューの解像度が格段に上がった事を思い出して日本に設置した僕の作品を探してみたら道路沿いのものは見られました。(2014年6月撮影ってついこの間だ!)


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松島の「寺町小路」の石の道標も見られました。


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それにしてもすごいな。ストリートビュー。東京の実家はベランダに洗濯もの干してるし、徳島に住んでいた時のマンションは変わらぬ姿で建っていた。
死ぬまでにもう一度訪ねたいと思っているカルムイキア共和国やそこに建っている自分の彫刻の様子を、自分の部屋のMacで見ることができてしまうのが幸せかどうかはまた別の話だけど、ストリートビューでかつて歩いた街をヴァーチャルな世界でも歩くのは面白い体験だった。

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