片山真理 展

片山真理さんの初めての個展 “you’re mine”を見に、恵比寿のTRAUMARIS | SPACE へ。
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△片山真理 展 「you’re mine」DM

先天的な理由で両足を切断しているアーティスト。だから彼女の作品世界は、その足と義足との関係無くしては始まらなかっただろうけど、それを「売り」にしている訳ではない。こんな風に言っている。

 私は身体障害者です。自分の障害を上手く利用して、何かをするのが嫌いです。例えば、障害者マークのついた駐車場の利用とか、電車やバスで優先席に座るのとか。こうやって私は障害者です、と文頭から始めるコトだって。障害者らしい反抗期なのでしょうか。それとも十代の思春期は、こうやって自分を否定するのがお仕事なのでしょうか。別に、義足や奇形を憎んでいるわけではないですし、劣っているとも思っていないのに、それらを利用し、頼っている、と感じると悔しくて仕方がないのです。で、自分は障害者ですよ、というようなアピールだけにしたくないです。そんなの当たり前ですけれど。

片山真理公式サイト →PDF Portfolioから

※この Portfolio 刺激的でとても充実してます。作品の写真も文章も。

ゆっくりと作品と対峙した。
響いた。手も足も人並みにあるのにお前は何をやっているのか?何を作っているのか?というのではない。肉体に欠けているところが無くても、精神のどこかが欠けているかもしれないし。意識的か無意識かは関係無く、何かが欠けている事は「表現」の動機にもなるだろう。少なくとも僕はそうだ。
結局、肉体に足りないところが有ろうと無かろうと、精神に足りないところが有ろうと無かろうと、表現したいならただそれをやればいい。ハンデに感じられるものが武器になるかもしれないし、そもそも武器にならなくたっていい。創る。

透明な瓶に身の回りのものを並べて詰めていって、オイルで満たした作品”oil works”も良かった。本棚を眺めるのが好きだからか、整然と並んだものを見ると、それだけでうっとりしてしまうところがある。だから「並んでいる」だけでひいき目に見てしまっているかもしれないけど、ひとつひとつをていねいに見てもそれぞれ個性的で美しかった。(公式サイト作品写真が見られます)その日その日の思い出を瓶に詰めて、ひとつひとつを並べたカレンダーのようでもあった。普段は背面がガラスの場所に飾って光が作品を通って輝くという。きれいだろうな。

僕もずっと、売るためではなくて作品を作ってきたところがあるので、このインタビュー 「私がつくり続ける理由」 はとても面白かった。作品を創ることと売ることは僕もずっと考えてきたし今も考えている。いろんなアーティストの「売る」「売らない」の発言に興味を持っている。まあ、売らないと食べていけない訳で、売らない、売れないなら、何か考えないとご飯が食べられないのだけど。

でも今回の個展で”oil works”何点か売れていた。少し変わってきたのかな。

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恵比寿ガーデンプレイスの石の彫刻の周りのベンチに座って、しばし個展から広がった思いに浸り作品のノミ跡を撫でてから、恵比寿を後にした。